北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成25年度新発生病害虫]
水稲のイネドロオイムシ(薬剤抵抗性個体群の出現)
平成20年以降、道内主要水稲栽培地帯において、育苗箱施用剤を処理したにもかかわらずイネドロオイムシによる被害が多発する事例が認められ、この中には、従来本種に対して高い防除効果を示していたイミダクロプリド剤を施用していた事例があった。このため、平成22年に現地ほ場から本種越冬成虫を採集し、イミダクロプリド水和剤DF1000倍液を潅注処理した稲体に対する接種試験を実施したところ、空知、上川総合振興局管内を中心とした6ほ場から採集した個体群では防除効果が低く、本剤に対する薬剤感受性の低下が疑われた。
平成25年には、これらのほ場を含む16市町村16ほ場で採取した本種個体群に対して局所施用法による感受性検定を実施し、各個体群に対して得られた半数致死量(LD50)について、調査地点中最も低かった地点の値に対する比を抵抗性比として算出した。抵抗性個体群判定の基準として一般的に用いられる抵抗性比10を上回った地点のあった市町村は、旭川市東旭川、当麻町、愛別町、士別市、芦別市、新十津川町、岩見沢市、美唄市、三笠市、由仁町であった。また、抵抗性個体群が確認された地点におけるほ場試験でもイミダクロプリド水和剤DF500倍液の育苗箱灌注による防除効果が不十分であった。これらのことから、上記市町村から採集した個体群は抵抗性個体群と考えられた。このため、抵抗性個体群の発生が確認された地域では、前年の防除効果を検証し、薬剤を選定すべきである。
(上川農試・中央農試・上川農業改良普及センター本所・士別支所・空知農業改良普及センター本所・中空知支所・空知南東部支所)
写真 イネドロオイムシの幼虫(中央農試 小野寺 原図)
写真 イネドロオイムシの成虫(中央農試 小野寺 原図)
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