北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成24年度新発生病害虫]


アロニアの灰星病(新称)


 平成17年から伊達市大滝区において収穫後のアロニア果実が腐敗する症状が発生し、収穫直前の樹上にある果実にも灰星症状を確認した。平成20年に発生した腐敗果から単胞子菌株を分離した。分離菌はPDA培地上で灰色の菌叢を形成し、分生子は単胞、レモン型、分離器を欠き鎖状に連鎖、大きさ11.4~15.7μm×7.5~11.2μmであった。胞子形成は20~25℃で最も多かった。これらの培養性状、形態的特徴はMonilinia fructicolaと一致した。また種特異的プライマー(Côté, 2004)によりM. fructicolaと同サイズのDNA断片が増幅され、その領域の塩基配列はM. fructicolaの配列と高い相同性を示した。分生子懸濁液を、アロニアの果実に接種したところ、果実から灰色胞子塊が現れ、原病徴が再現され、発病果から接種菌が再分離された。以上により本症はM. fructicola (Winter) Honeyによる病害であることを明らかにし、アロニア灰星病と呼称することを提案した。

(中央農試・上川農試・(株)ホクサン)

アロニア灰星病(小坂)

写真 アロニア灰星病による果実の症状(技術普及課 上川農試駐在 小坂氏 原図)


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