北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成24年度新発生病害虫]
かぼちゃのフザリウム果実腐敗病(新発生・病原追加)
平成21年に後志地方、平成22年に空知地方、平成23年に胆振地方で、かぼちゃ(西洋かぼちゃ)の果柄部あるいは花痕部が白色に覆われ腐敗する症状がみられ、腐敗部からFusarium属菌が分離された。本症状はキュアリング中の発生はわずかであったが、貯蔵中に多発するのが特徴である。平成22年11月、空知地方で発生した貯蔵中のかぼちゃ病斑部から赤色と白色を呈する2菌群のFusarium属菌を分離した。分離菌をかぼちゃ果実側面に有傷接種すると、赤色菌群は強い病原性を示し、白色菌群は弱い病原性を示した。赤色菌群の大分生子はSNA培地上で大きさ33〜60(平均48.1)μm×4〜7(平均5.8)μmで、5隔壁のものが多かった。生育適温は25℃で、菌糸伸長速度は8〜11mm/dayであった。さらに、Multiplex
PCR法(Suzuki et al., 2010)により毒素産生能も調べた結果、分離菌を3ADON産生型F. graminearum(狭義)と同定し、本症をカボチャフザリウム果実腐敗病と同定した。Fusarium sp.によるフザリウム果実腐敗病は輸入検疫による記録があるが、国内生産現場においては初の発生事例となる。なお、白色菌群については未同定である。
(中央農試・空知農業改良普及センター南東部支所)
写真 カボチャフザリウム果実腐敗病による果柄の腐敗症状(中央農試 栢森 原図)
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