北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成24年度新発生病害虫]


トマト・ミニトマトのすすかび病(新発生)


 平成24年6月、旭川市のハウス栽培ミニトマト(葉かび病抵抗性(Cf-9)品種「SC6-008」)において、葉かび病に酷似した不整形病斑が確認された。病斑上には灰褐色粉状のかびが生じ、病勢が進展すると葉全体が枯れ上がった。病斑部から分離した菌をトマト(品種「レジナ」)に接種したところ、同一症状が再現され、接種菌が再分離された。分離菌のPDA培地上の菌そうはオリーブ色で、同培地上での生育は25℃・2週間で4mmと遅かった。病斑上の分生子は淡褐色、表面は平滑、22.3〜172.4μm×2.7〜5.6μm、横隔壁は0〜17個、針状から長円筒形で、先端が少しくびれ小型の油胞が存在した。分生子柄は淡褐色、叢生し、表面は平滑で隔壁を有した。分生子形成細胞は分生子柄の先端にあり分生子は連鎖せず、分生子柄上の離脱痕は薄壁であった。また本菌の生育適温は25〜30℃の間であった。以上より、分離菌をPseudocercospora fuligena (Roldan) Deightonと同定し、本症状をトマトすすかび病とした。なお、すすかび病と葉かび病の区別は肉眼では困難であるため、診断では顕微鏡による分生子観察が必須である。

(上川農試・中央農試・上川農業改良普及センター本所・後志農業改良普及センター本所)

トマト・ミニトマトのすすかび病(藤根)

写真 トマトすすかび病による葉の病徴(上川農試 長濱 原図)

トマト・ミニトマトのすすかび病(藤根)

写真 トマトすすかび病菌の分生子(上川農試 藤根 原図)


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