北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成24年度新発生病害虫]


ブロッコリーの苗立枯病(新発生)


 平成24年5月下旬、今金町のブロッコリー(品種「ピクセル」)栽培圃場で定植20日後の株が立枯れる症状が発生した。罹病部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現されるとともに、接種菌が再分離された。分離菌は菌糸幅6.2~10.6(平均8.2)μm、1細胞あたりの核数は4~18(平均8.2)個であり、かすがい連結を形成しなかった。菌糸は先端細胞の隔壁の直下で分岐し、分岐部はくびれ、分岐部付近に隔壁を形成した。以上の形態的特徴より分離菌をRhizoctonia solani Kühnと同定した。分離菌はPDA培地上ではじめ白色でやがて淡褐色となり、明瞭な輪紋および微小な菌核を形成した。10~30℃で生育し、生育適温は20~25℃、25℃における菌糸伸長程度は6.0mm/24時間であった。分離菌をR.solani AG-1~5の基準菌株と対峙培養した結果、AG-2-1と高頻度で、AG-2-2と低頻度で菌糸融合した。また、AG-2-1特異プライマーを用いたPCR反応によりDNA断片が増幅された。以上より分離菌をRhizoctonia solani AG-2-1(培養型Ⅱ)、本症状をブロッコリー苗立枯病と同定した。

(道南農試・桧山農業改良普及センター桧山北部支所)

ブロッコリーの苗立枯病(三澤)

写真 ブロッコリーの苗立枯病(道南農試 三澤 原図)


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