北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成24年度新発生病害虫]


こまつなのべと病(新発生)


 平成23年11月、北斗市のハウス栽培こまつな(品種不明、収穫期)で、葉表面に淡緑色から黄色の不整形病斑を形成する病害が発生した。葉裏面には淡黄色病斑を形成し、病斑表面には白色のかびを生じた。このかびは病原菌の分生子柄および分生子であり、分生子柄は気孔から抽出し数回又状に分岐し、先端に分生子を形成した。分生子は無色、単胞、球形から楕円形で、大きさは16.9〜24.9(平均20.0)μm×13.3〜21.2(平均15.8)μmであり、発芽管を出して発芽した。以上の形態的特徴はPeronospora parasitica (Persoon) Friesと一致した。罹病葉上に形成した分生子をこまつな、かぶ、はくさい、だいこんおよびキャベツの苗に接種した結果、こまつなでは原病徴が再現され、罹病葉上には接種菌と同様の菌の形成が認められた。また、接種したかぶおよびはくさいの苗では発病が認められたが、だいこんおよびキャベツでは発病が認められなかった。P. parasitica は寄生性の異なる6つの系統に分化しており、こまつな菌はかぶおよびはくさいに病原性を示す系統と同じであった。アブラナ科作物に寄生するP. parasitica は近年rDNA-ITS領域の塩基配列の解析結果に基づきHyaloperonospora brassicae (Gaumann) Goker, Voglmayr, Riethmuller, Weiss & Oberwinkler に学名が変更された。以上より本症状をH. brassicaeによるコマツナべと病と同定した。

(道南農試・渡島農業改良普及センター本所)

こまつなのべと病(三澤)

写真 コマツナべと病による葉の症状(道南農試 三澤 原図)


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