北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成24年度新発生病害虫]
てんさいの苗立枯病(病原の追加)
平成23年7月、北斗市でベビーリーフとして栽培中のてんさい(ベビーリーフ用品種「デトロイト」)で立枯症状が発生した。発病株からは無隔壁で幅5.2〜7.7mmの菌糸を有する糸状菌が分離された。分離菌は滅菌芝培地上で有性器官および遊走子のうを形成せず、平均径23.7μmの菌糸膨潤を形成した。分離菌のCMA培地上での生育適温は20〜25℃であり、25℃における菌糸伸長程度は19.5mm/24時間であった。分離菌のrDNA-ITS領域の塩基配列を解析した結果、Pythium ultimum Trow var. ultimumと100%一致し、分離菌をP. ultimum var. ultimumの有性器官未形成株hyphal swelling groupと同定した。分離菌の接種によりてんさいに原病徴が再現され,接種菌が再分離された。以上より本症状をP. ultimum var. ultimumによるテンサイ苗立枯病と同定した。テンサイ苗立枯病の病原としてP. ultimum var. ultimumは未報告であるため、病原として追加する。
(道南農試)
写真 てんさいの苗立枯病(道南農試 三澤 原図)
新発生病害虫一覧へ戻る