北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成24年度新発生病害虫]
ばれいしょの腰折症状(新症状)
平成18年頃より、北海道内のばれいしょ栽培圃場において、7月上旬以降に茎の地際部付近が楔形に腐敗して折れ、やがて株全体が枯死する症状(腰折症状)が認められ問題となってきた。平成23年7月に訓子府町および富良野市で発生した本症状の腐敗部からはRhizoctonia属菌が高頻度で分離された。分離菌をばれいしょに接種した結果、原病徴が再現され接種菌が再分離された。形態・核数・培養菌叢・温度反応・菌糸融合反応および亜群特異的PCRから、分離菌をR. solani Kühn AG-2-2 IVと同定した。R. solaniによるばれいしょの病害としてAG-3 PTを主体とした黒あざ病が知られているが、本症状はこれとは異なり、茎地際から上方に腐敗が進行し地上部に腐敗症状が見られること、黒あざ病の典型的な病徴である気中塊茎が見られないことから両者の識別が可能である。なお、R. solani AG-2-2 IVはてんさいに根腐病を起こす菌群であり、現地では前作のてんさいで根腐病が発生した圃場でばれいしょを栽培した場合に本症状の発生が認められている。また、テンサイ根腐病菌をばれいしょに接種すると腰折症状を起こすことを確認している。
(北見農試・道南農試・上川農試・十勝農試)
写真 R. solaniによるばれいしょの腰折症状(中央農試 小松 原図)
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