北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成23年度新発生病害虫]
ぶどうのつる割細菌病(新称)
平成21年から23年に、北海道内各地のヨーロッパ種ぶどう(Vitis vinifera)およびその交配種のぶどうにつる割病に類似した症状が発生した。葉では初め葉脈に囲まれた淡黄色の小斑点が現れ、やがてハローを伴う褐色の病斑となり、加えて葉縁部の黄化や病葉の一部が褐色に枯死する症状も認められた。蔓では初め新梢に長さ数mm〜5cm程度の黒褐色の条斑が認められ、やがてつる割症状あるいは黒褐色のかいよう症状となった。花では黒変枯死し、果実では黒褐色円形のかいよう症状および裂果も認められた。葉、蔓および果実からはNA培地で淡黄色、平滑、円形、丘状の集落を形成する極めて生育の遅い細菌が分離された。分離細菌を接種したところ、ぶどうの葉と新梢に病原性を示し、接種菌が再分離された。本菌はウレアーゼ陽性、D-グルコースを利用せず、33℃で生育しなかった。その他62項目の細菌学的性質、特異的プライマー(Manceau et al.,2005)による検出、および 16S rDNAの配列から本菌を Xylophilus ampelinus (Panagopoulos) Williems et al. と同定し、本病をブドウつる割細菌病とした。
(中央農試、上川農試、後志農業改良普及センター北後志支所、檜山農業改良普及センター本所、上川農業改良普及センター富良野支所、空知農業改良普及センター北空知支所)
写真 葉での症状(中央農試 新村 原図)
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