北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構


[平成23年度新発生病害虫]

カーネーションのべと病(新称)

 平成233月、月形町内1ほ場(4a)で栽培中のカーネーションで葉が黄化する病害が発生した。病斑の輪郭は不明瞭で、葉の両面に灰褐色の霜状のかびを生ずる。本菌の分生子柄は気孔から外表に表れ、長さは226374μmで、36回叉状に分岐し、先端に卵形で灰褐色の分生子を生成する。分生子は大きさ17.623.8×14.920.9μm、縦横比は1.11.3で、発芽管により発芽する。発病葉内に黄褐色で表面がイボ状の凹凸の卵胞子生成し、直径3747(平均42.6)μmである。症状および病原菌の形態的特徴はDuan (2010)およびFrancis (1983)Peronospora dianthicola と一致した。rDNA-ITS領域は近縁のPerono-spora 属数種と9697%の相同性を示した。発病葉より採取した分生子(5×10/ml)を接種したところ、接種後13日目に原病徴が再現され、接種菌と同一の菌が観察された。以上から本病菌をPeronospora  dianthicola Barthelet と同定し、カーネーションべと病と呼称する。なお、海外では本病が広く分布しているため、輸入苗を使用する際には注意を要する。

               (中央農試・空知農業改良普及センター本所)

20カーネーションべと病・栢森

写真 葉での症状(中央農試 栢森 原図)


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