北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構


[平成23年度新発生病害虫]

トマトの斑点病(病原菌の同定)

 平成228月、江差町のミニトマト(品種「キャロル10」)栽培ハウスで葉に斑点症状が多数発生する病害が発生した。葉に直径18mm、中心が淡褐色でやや陥没し、周囲が暗褐色の不整形病斑を多数形成した。発病は下位葉からはじまり、上位葉にまで達した。茎にも病斑を形成したが、果実での発病は認められなかった。発病部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌の分生子柄は半透明、幅4.77.1μm、長さ40.3162.6μmで先端部は褐色で顕著に膨潤し(7.810.9μm)、貫生により再伸長した。分生子は、分生子柄先端に単生、褐色で乳頭突起を有し、大きさ39.575.0(平均57.0)μm×15.222.8(平均18.6)μm、縦横比3.07、主に横8個、縦2個の隔壁を有し、3つの横隔壁でくびれた。以上の形態的特徴より分離菌をStemphylium lycopersici (Enjoji) Yamamoto、本病をトマト斑点病と同定した。本病の病原菌として国内ではS. lycopersici S.solani 2種が報告されているが、道内で発生する菌種は未同定であった。

(道南農試・檜山農業改良普及センター本所)

16トマト斑点病・三澤

写真 葉での症状(道南農試 三澤 原図)


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