北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成23年度新発生病害虫]
ブロッコリーの黒すす病(新発生)
平成22年10月、厚沢部町の収穫期のブロッコリー(品種「スピードドーム052」)で花蕾および葉身の黒変症状が発生した。花蕾には直径1mm程度の黒色小斑点が多数形成し、花蕾全体がまだら状に黒変した。葉身には、直径1〜2mmの褐色小斑点および直径5〜20mmの褐色輪紋病斑を形成し、やがて病斑中央部が脱落しせん孔した。葉柄にははじめ長さ1〜4mmの暗褐色条斑を形成し、しだいに融合して10〜20mmの病斑となった。いずれの病変部からも単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現され、接種菌が再分離された。また、分離菌は、はくさいおよびキャベツの苗の葉身に対しても病原性を示した。分離菌の分生子柄は淡褐色、幅4〜6μm×長さ15〜80μmで、シンポジアルに伸長し、分岐を有するものもあった。分生子は4〜12個連鎖し、二次分生子柄を形成し複雑に分岐した。分生子の形状は、淡褐色〜黒褐色、円筒形〜倒棍棒状、表面平滑で、明瞭なビークはなく、1〜7つの横隔壁、0〜1つの縦隔壁を有し、大きさは9.3〜54.4×7.4〜18.6μmであった。以上の形態的特徴および病原性より分離菌をAlternaria brassicicola (Schw.) Wiltshire、本病をブロッコリー黒すす病と同定した。なお、本病は平成23年9月には厚沢部町(発生面積27.4ha)、江差町(同16.2ha)および乙部町(同26.1ha)で広域的に発生した。
(道南農試・檜山農業改良普及センター本所)
写真 花蕾の症状(道南農試 三澤 原図)
新発生病害虫一覧へ戻る