北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成23年度新発生病害虫]
小豆の茎腐細菌病(病原菌の同定)
本病の病原細菌はTanii and Baba(1979)によりPseudomonas adzukicola と同定されたが、その後、国際細菌命名規約が発効したことによりP. adzukicola は失効したままである。当時同定に供された菌株は現存しないため、平成19年および21年に士別市および比布町、美瑛町、上富良野町、斜里町、小清水町の罹病個体から新たに分離した12菌株について再検討を行った。本菌はグラム陰性の桿菌で好気性、King's B培地上で黄〜黄緑色の蛍光色素を産生し、LOPAT試験結果とその他の諸性質がP.syringae 群の細菌と概ね一致した。さらに、2菌株の16SrDNA、rpoD、gyrB 遺伝子の配列をBLAST検索したところ上位のP.sy-ringae 群の細菌と99%以上の高い相同性を示した。また、hrpZ 遺伝子はInoue and Taki-kawa (2006)のIA群であったが、ERIC-PCRで得られたバンドパターンはIA群に属する他の病原型の菌株のそれと異なった。分離菌を接種したところ、小豆の他に菜豆(金時類)および藤豆、ささげに病原性を示した。以上から本菌はPseudomonas syringae の一病原型と同定された。病原型は今後検討する予定である。
(上川農試・静岡大学)
写真 株の症状(上川農試 東岱 原図)
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