北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構


[平成23年度新発生病害虫]

大豆のダイズシストセンチュウ(抵抗性品種打破系統の出現)

 平成177月、剣淵町内の大豆(品種「ユキホマレ」)栽培ほ場において、ダイズシストセンチュウによる被害が発生した。採集された個体群を用いて接種試験を実施した結果、本線虫抵抗性極強品種「スズヒメ」に対して明らかな寄生性を示したことから、「スズヒメ」打破個体群の出現が確認された。「スズヒメ」打破個体群は平成21年士別市および剣淵町より採集した4個体群にも認められ、この4個体群についてレース検定を行った結果、1個体群はレース22個体群はレース51個体群はレース6とそれぞれ判定された。このうち、レース2ならびにレース6は国内新レースである。他の抵抗性品種に対する「スズヒメ」打破個体群の寄生性を室内検定により確認したところ、抵抗性強の品種群(「ユキホマレ」、「ユキシズカ」など)および抵抗性極強品種「ユキホマレR」に対しても寄生性を有した。現在のところ「スズヒメ」打破個体群の確認事例は限られているため、ほとんどのほ場で「ユキホマレR」の作付けが可能と考えられるが、ほ場観察あるいはシードテープ法(平成19年度普及推進事項)により、「スズヒメ」あるいは「ユキホマレR」に寄生が認められる場合は、大豆、小豆ならびに菜豆の作付けを避けるべきである。

(上川農試)

03ダイズシストほ場・東岱

写真 発生ほ場の様子(上川農試 東岱 原図)


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