北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成23年度新発生病害虫]


水稲のイネドロオイムシ(抵抗性個体群の出現)


 平成20年および21年に道内主要水稲栽培地帯において、育苗箱施用剤を処理したにもかかわらずイネドロオイムシによる被害が多発する事例が認められた。このため平成22年に、フィプロニル粒剤を施用した稲体に本種の越冬成虫を接種したところ、共和町と旭川市神居古潭各1ほ場から採集した個体群では防除効果が低く、フィプロニルに対する薬剤感受性の低下が疑われた。そこで平成23年に、これらのほ場を含む5市町5ほ場で採取した本種個体群に対して局所施用法による感受性検定を実施し、半数致死量(LD50)が最も低かった比布町ほ場を基準としてLD50比(抵抗性比)を算出したところ、共和町ほ場は20.5、旭川市神居古潭ほ場は3.8となった。一般的には抵抗性比が10以上で抵抗性と判断されるが、フィプロニル抵抗性個体群の出現が既に報告されている新潟県、山形県、秋田県では抵抗性比2.920.8で抵抗性と判断していること、更に、採集したほ場では本剤を使用しても明らかに防除効果が低かったことから、検定に供試した共和町ほ場と旭川市神居古潭ほ場については抵抗性個体群であると判断した。このため、共和町および旭川市神居古潭については、フィプロニルの使用を避けるべきと考えられる。

(上川農試・中央農試・上川農業改良普及センター本所・後志農業改良普及センター本所)

01ドロオイの幼虫・小野寺

写真 イネドロオイムシの幼虫(中央農試 小野寺 原図)


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