北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和63年度新発生病害虫]

スターチスの株腐病(新発生)

(1988年−昭和63年)


 昭和60年6、8月および62年6月に月形町、長沼町、および当麻町でスターチス(ボンジェリー、シヌアータ、アルタイカ)の下葉および茎の地際部が暗褐色に腐敗し、茎の基部では褐色のカビが密生し、のちに株全体がしおれて枯死する病害が発生した。これらの病斑部からWA培地で生育の早い糸状菌が分離された。
 本菌の含菌寒天(PDA培地)をスターチスに接種した結果、自然発病と同じ症状を呈し、さらに接種菌と同じ形態の糸状菌が再分離された。本病原菌は菌糸の分岐点に狭窄があり、分岐点近くに隔膜があってほぼ直角に分岐し、淡褐色の菌核を多数形成した。さらに本菌は1細胞当り3核以上の多核であった。
 以上のことから本菌はRhizoctonia solani Kuhnと同定された。さらに菌糸融合群(AG)を調べたところ、分離菌株はAG1、AG4、AG2-2であった。このうち AG1 は主として葉の病斑、AG4 は苗の葉および茎の病斑、AG2-2 は成葉および成茎の病斑からそれぞれ分離された。本病は6月から8月の多湿・高温の条件下で発生し易い。発病株率は一般には数%であったが、約50%の株に発生した事例もあった。

(中央農試病虫部)


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