北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和62年度新発生病害虫]

ゴボウの黒条病(新称)

(1987年−昭和62年)


 昭和61年7月〜9月に芽室町、帯広市川西、幕別町で、昭和62年8月には浦幌町でゴボウの葉脈と葉柄に黒〜黒褐色の条斑を生じ、枯死する病害が発生した。病変は表層部に限られるが、葉柄の病変部から容易に折れるため、強風によって被害が助長される。
 罹病部からPDA上で緩慢な生育を示す白色の糸状菌が分離された。本菌の含菌寒天(PDA)をゴボウの葉に20゚C、湿室条件下で接種すると4〜5日後に発病し、その後進展して自然病徴と同じ症状を呈した。発病部位から接種菌と同じ菌叢の糸状菌が再分離された。
 本病原菌は菌糸に多数のクランプがみられることから担子菌に属する。本菌の生育は遅く(PDA、20゚C、11日間培養で18〜19mm)、菌叢は白色、粉状、気中菌糸は束状、菌叢周囲は放射状で強靭なマット状を呈する。菌糸(3.5〜4.9μm)の先端、中間部に厚膜胞子と思われる膨らみがみられ、先端のものが分生胞子様(7.7〜10.5×10.5〜14.0、平均8.8×12.4μm)に離脱することもある。
 本菌は、 ≦4〜<30゚Cで生育し、最適温度は15〜20゚Cである。子実体は未確認である。本担子菌系統の真菌についての分類学的所属は明らかでないが、病名をゴボウ黒条病と新称したい。

(十勝農試)


新発生病害虫一覧へ戻る
ホームページへ戻る