| 馬鈴しょ科 (農林水産省ばれいしょ育種指定試験地) |
馬鈴しょ科では、北海道、特に北東部に適する、病害虫に強く栽培容易で高品質なでん粉原料用や加工原料用のばれいしょ新品種の開発(育種)を行っています。
昭和32年(1957)に農林水産省指定試験地として北海道立農業試験場根室支場(現 根釧農業試験場)に設置され、主にでん粉原料用品種の開発を行ってきましたが、加工原料の需要増加に対応し、病害虫抵抗性品種の開発を強化するため、平成10年(1998)に北見農業試験場に移転しました。
北見農試で開発された新品種には、でん粉原料用品種「ナツフブキ」、そうか病抵抗性の生食用品種「スノーマーチ」、加工用(ポテトチップ)品種「オホーツクチップ」、業務加工にも適する生食用品種「ゆきつぶら」、疫病抵抗性の生食用品種「さやあかね」などがあります。
馬鈴しょ科では、網走管内のばれいしょ作付面積の2/3を占めるでん粉原料用をはじめ、ポテトチップなどの油加工原料用やサラダ、コロッケなどの業務加工に適する新品種の開発を行っています。
| 育種 目標 |
形質 | 用途 | 備考 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| でん粉 原料用 |
油 加工用 |
業務 加工用 |
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| 収量性 | 早晩性 | ★★ | ★★★ | ★★★ | 早出し用や秋まき小麦の前作用として重要な形質です。 |
| いも収量 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | 業務加工・油加工では規格内収量が重要です。 | |
| でん粉収量 | ★★★ | − | − | いもの収量とでん粉含量をバランス良く高めて多収を目指しています。 | |
| 品質 | 外観品質 | ★ | ★★★ | ★★★ | いもの形状、大きさのそろい、目の深さ、表皮の粗滑、二次生長・裂開など。 |
| 調理品質 | − | ★★★ | ★★★ | 肉色、肉質(粘粉)、煮くずれ、皮むき後や調理後の変色の少なさ、食味など。 | |
| 内部異常 | ★ | ★★★ | ★★★ | 褐色心腐、中心空洞などの生理障害が少ないことが重要です。 | |
| でん粉含量 | ★★★ | ★★ | ★ | でん粉原料用では、でん粉収量に関わる重要な形質です。 ポテトチップ原料用では製品歩留りに影響します。 |
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| でん粉品質 | ★★★ | − | − | 片栗粉、水産練製品などばれいしょでん粉固有の用途に適する品質を持たせることが重要です。 | |
| 還元糖含量 | − | ★★★ | − | ポテトチップ原料用では油で揚げた際に褐変の原因になるので、少ないことが重要です。 | |
| 貯蔵性 | ★ | ★★★ | ★★ | ポテトチップ原料用では、休眠期間が長く、長期間低温で貯蔵しても還元糖が増加しづらいことが重要です。 | |
| 病害虫 抵抗性 |
シストセンチュウ | ★★★ | ★★★ | ★★★ | 北海道で最も恐れられているばれいしょの害虫です。 |
| 疫病 | ★★ | ★★ | ★★ | 収量と品質に大きな影響を及ぼす病気です。 | |
| そうか病 | ★★ | ★★ | ★★★ | いもの外観を損ね、商品価値をなくす病気です。 | |
| Yウイルス | ★ | ★ | ★★ | 種いもを通じて伝染し、収量を低下させます。 | |
| 打撲耐性 | − | ★★ | ★★ | 収穫、選別時の打撲による変色が少ないことが望ましい。 | |
| ★★★:たいへん重要 ★★ :重要 ★ :やや重要 − :重要性は低く目標としていない |
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北見農試病虫科や中央農試遺伝子工学科などと協力しながら、ばれいしょに重大な被害を与える次の4つの病害虫に強い品種の開発を行っています。
| 病害虫 | 写真 | 特徴 | 選抜法 | 馬鈴しょ科育成品種例 |
|---|---|---|---|---|
| ジャガイモシストセンチュウ | ![]() 根についたシスト(病虫科) |
ばれいしょで最も恐れられている害虫です。 卵が「シスト」という丈夫な殻に守られているため、土の中で10年以上生き続けることができます。卵はばれいしょの根から出る化学物質に促されてふ化し、幼虫は根に侵入してばれいしょから養分を横取りしながら成長し、やがて根の表面に数百もの卵が入った「シスト」を形成し、増えていきます。 抵抗性品種の根の中では子孫をほとんど残せないため、抵抗性品種を栽培すると土の中のシストセンチュウの密度を大幅に減らすことができます。 |
DNAマーカー (中央農試遺伝子工学科) カップ検定 |
さやあかね ゆきつぶら オホーツクチップ スノーマーチ ナツフブキ 等1992年以降育成の全品種 |
| ジャガイモそうか病 | ![]() かさぶた状の病斑 |
土中に生息するそうか病菌により、イモの表面にかさぶた状の病斑ができるため、見た目が悪くなり、商品価値がなくなる病気です。 抵抗性品種を栽培することで、病気のイモが少なく、病斑も目立たなくなるため、商品化率の向上が期待できます。 |
そうか病検定圃場における選抜 | スノーマーチ(抵抗性:強) オホーツクチップ(抵抗性:中) |
| ジャガイモ疫病 | ![]() 葉の病斑 ![]() 塊茎腐敗(根室農改) |
疫病菌というカビの一種が茎葉を急速に枯らしてイモの収量を激減させ、さらにイモを腐らせる病気です。アイルランドでは、1845年から数年間にわたり大発生し、ばれいしょに壊滅的な被害を与え、数十万〜百万人が餓死したといわれます。 現在は農薬を使うことで被害を最小限に抑えることができますが、毎週のように何度もまかなければならなりません。 抵抗性品種は農薬の使用回数を大幅に減らすことができます。 |
実生苗菌接種 (北見農試病虫科と共同) 疫病無防除圃場における個体選抜 |
さやあかね 花標津 |
| ジャガイモYウイルス | ![]() 壊死した葉脈 |
発病すると葉脈が死んだり、葉にモザイク状の斑紋ができて、収量が大幅に減ります。病気の葉から汁を吸ったアブラムシがウイルスを運んで感染したり、感染株から収穫される種イモを通じて次世代に伝染します。 抵抗性品種はウイルスがイモに移行しません。 |
DNAマーカー (中央農試遺伝子工学科) |
サクラフブキ コナフブキ |
馬鈴しょ科電話番号:0157-47-2149(直通)