平成14年度 病害虫発生予察情報第14号

注意報第6号

平成14年7月26日 北海道病害虫防除所
(連絡先:Tel.0123(89)2080

 アカヒゲホソミドリカスミカメやや多め
基幹防除の徹底を!
遅れ穂の発生による加害期間延長に注意!

アカヒゲホソミドリカスミカメ(以下カメムシ)は、第2回成虫の発生が平年よりも3〜12日程度早く始まっています。予察灯による誘殺数から、周辺環境を含む個体群密度は高めに経過している可能性があります。
各予察定点における畦畔すくい取り数は平年並からやや少なめですが、予察灯による誘殺数は長沼町および比布町で平年を上回りつつあります。巡回調査でも、道南地域では発生が見られませんが、道央から道北地域にかけて発生の目立つ地点が散見されます。
8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、カメムシの発生量は道央・道北を中心にやや多めとなることが予想されます。また、現状の生育状況より、水稲は出穂のばらつきによる遅れ穂が多めと見込まれ、カメムシの加害期間が長引くことが予想されます。
防除の基本は出穂期と7〜10日後の2回散布です。2回目散布後に捕虫網ですくい取り調査を実施し、必要と認められた場合には追加防除を継続しましょう。

  1. 発生地域  全道

  2. 発生程度  並(道南)〜やや多(道央〜道北)

  3. 注意報発令の根拠
    1. 予察灯によるカメムシの誘殺数は道央・道北で平年よりも多い。

      予察灯によるアカヒゲホソミドリカスミカメの誘殺状況
      地点 大野町 長沼町 比布町
      月半旬 本年 平年 本年 平年 本年 平年
      7.1 1 3 1 35 0 4
      7.2 0 1 52 9 0 1
      7.3 1 7 151 50 25 7
      7.4 16 19 382 44 191 9

    2. 巡回調査によると、道央から道北にかけて、畦畔・小麦畑・牧草地におけるカメムシすくい取り数が多い地域が見られる。

      アカヒゲホソミドリカスミカメ畦畔すくい取り虫数 巡回調査データ
      支庁 普及センター 7月3半旬 支庁 普及センター 7月3半旬
      石狩 石狩中部(3) 0.0 上川 旭川(45) 6.3
      石狩北部(2) 2.0 士別(2) 2.5
      渡島 渡島中部(4) 0.0 上川中央(3) 2.7
      渡島南部(2) 0.0 大雪(3) 1.8
      檜山 檜山南部(5) 0.0 富良野(3) 1.0
      檜山北部(10) 0.0 名寄(3) 0.7
      後志 中後志(3) 0.0 留萌 中留萌(5) 0.8
      空知 雨竜西部(3) 3.0   南留萌畦畔(6) 11.2
        空知西部(2) 1.8   同秋まき小麦(3) 65.7
        空知中央(5) 2.8   同春まき小麦(5) 217.2
        空知東部(3) 0.5   同牧草地(4) 3.0
        空知南西部(5) 0.6 胆振 東胆振(3) 0.0
        空知南東部(2) 2.0 日高 日高西部(3) 0.0
        空知北部(4) 4.5   日高東部(3) 0.0
      注)かっこ内は調査地点数。調査地は畦畔・雑草地・小麦畑・牧草地など。
      捕虫網20回振り捕獲虫数の平均値を示す。
       
    3. 現状の生育状況より、出穂のばらつきによる遅れ穂が多めと見込まれ、カメムシの加害期間が長引くことが予想される。

  4. 防除対策
    1. 出穂期とその7〜10日後の2回防除は必ず実施する。高温条件が続いた場合など、 水田への侵入や水田内における加害活動が活発化している恐れがある場合は、適宜散布間隔を短縮したり追加防除を実施する。
    2. 割籾率の高い品種ほど斑点米の発生が多くなる傾向がある。割籾率の高い「ほしのゆめ」の栽培に当たっては特に注意が必要である。
    3. 2回目の茎葉散布後、5日程度経過した後に水田内でのすくい取り調査を実施し、 20回振りあたり捕獲頭数が2頭、割籾率の高い「ほしのゆめ」では1頭以上である場合は、追加防除を実施する。同様の調査を継続し、上記水準を下回るまで順次7日程度の間隔で追加防除を継続する。
    4. 加害期間は黄熟期までであり、その後の防除は不要である。ただし、遅れ穂が多い場合は加害可能期間が延長するので、加害期間を過ぎるまですくい取り頭数に基づく防除要否の判断が必要である。


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