平成13年度 病害虫発生予察情報 第8号

7月予報

平成13年6月25日 北海道病害虫防除所

(連絡先:予察課 Tel.01238(9)2080(内)323

     Fax.01238(9)2082)


季節予報(付記)によれば、7月の天気は概ね周期的に変わるが、オホーツク海高気圧や気圧の谷の影響を受け、天気のぐずつく時期があると予報されています。
このようなことから、多めの発生が予想される病害虫は、水稲のヒメトビウンカ、イネドロオイムシ、フタオビコヤガ、アカヒゲホソミドリカスミカメ、小麦の赤かび病、大豆・小豆の細菌性病害、大豆のべと病、大豆のジャガイモヒゲナガアブラムシ、ばれいしょの疫病、てんさいの褐斑病、ヨトウガ、たまねぎのネギアザミウマ、あぶらな科野菜のヨトウガがあげられます。

A.水稲
B.小麦
C.豆類
D.ばれいしょ
E.てん菜
F.りんご
G.たまねぎ
H.あぶらな科野菜
I.野菜類全般
季節予報

A.水稲

いもち病(葉いもち)  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 主要な作付品種の葉いもち抵抗性は弱〜やや弱である。
    2. 予察田では各地点ともさし苗に発病が認められた。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。
      地点 品種名 さし苗初発期 さし苗接種時期
      本年 平年 本年
      大野 きらら397 6月25日 6月28日 6月1日
      しまひかり 未発生 7月5日
      岩見沢 きらら397 6月15日 7月5日 6月4日
      キタヒカリ 6月18日 6月25日
      比布 きらら397 6月20日 6月28日 6月6日
      ほしのゆめ 6月20日 6月19日



  2. 防除対策
    1. 取り置き苗を処分する。畦畔にあげたり裏返しにされた苗でも発生源になるため、土中に埋没するなどして処分する。
    2. 葉いもちは初発予測システムBLASTAMを参考にし、好適日・準好適日の出現約1週間後にほ場を見回り、早期発見に努める。特に常発地帯や前年度多発したほ場では注意する。本病は多肥で発生しやすいため、葉色の濃い部分を特に注意して観察する。
    3. 窒素質肥料の過剰な分追肥はさける。
    4. 穂いもち防除の1回目は出穂期とし、適期を失しないように注意する。特に有人ヘリによる防除では適期に散布できない場合があるため状況に応じて地上散布を行う。


ヒメトビウンカ  発生期:既発(早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年秋期の発生量は全道的に多かった。
    2. 比布町および大野町の予察田では5月の成虫発生量は多く、6月に入って岩見沢市でも平年より多めとなっている。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量はやや多のまま推移すると見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 20回すくい取りで、成虫換算1800頭、幼虫換算900頭以上になると吸汁害が発生する恐れが高いので、多発が予想される場合は薬剤散布を行う。


イネドロオイムシ  発生期:既発(早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年の発生量は、石狩・網走支庁管内で多発生となったものの、全道的には平年並の発生量であった。
    2. 大野町の予察田では成虫の初発は早く発生量は多いものの、岩見沢市・比布町では発生期、発生量ともほぼ平年並となっている。巡回調査では上川・留萌支庁管内の一部地域を除いて発生は多くない。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されているが、7月前半にぐずつく時期があると見込まれていることから、発生量は平年並からやや多と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 老齢幼虫になると防除効果が劣るので注意する。
    2. 薬剤は防除基準に準拠して使用するが、有機りん系及びカーバメート系薬剤に抵抗性の個体群が広範囲に認められているので、薬剤の選定には十分注意する。


フタオビコヤガ  発生期:既発(早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年の発生量は、太平洋側を除き全道的に多かった。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されており、前年の発生状況からみて発生量は平年より多めと見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 幼虫や水面に浮いている笹舟型の蛹を見つけたら、次世代の発生に注意する。
    2. 若齢幼虫期に防除基準に基づき茎葉散布を実施する。


アカヒゲホソミドリカスミカメ  発生期:既発(早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 各予察田とも高温経過から成虫の発生期は早く、発生量は平年より多めとなっている。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量はやや多のまま推移すると見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 第1回成虫発生期にあたる6月下旬から7月上旬に、主な生息場所となるイネ科雑草を刈り取り、ほ場清掃に努める。
    2. 本田での防除は出穂期と7日後の2回を原則として実施する。その後の散布は、間隔を7〜10日とし、散布予定日の2〜3日前に水田内すくい取りを行い、20回振り当たり2頭(「ほしのゆめ」では1頭)を水準として要否を決める。
    3. 水田に隣接する麦類およびイネ科牧草での発生に注意し、その周辺の水田は特にていねいに薬剤散布を行う。
    4. 多発が予想される場合は本種の生息場所である畦畔・雑草地など水田周辺を7月中に薬剤散布する。


ニカメイガ  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 昨年の大野町・岩見沢市での誘殺数は平年より少なく、比布町では発生が認められなかったが、全道的にはやや多発であった。
    2. 7月の気温・降水量とも平年並と予報されていることから、発生期、発生量とも平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 成虫発生(誘殺)最盛期(岩見沢市の平年値:7月4半旬)から7〜10日間隔で1〜2回茎葉散布を実施する。


イネハモグリバエ  発生量:少

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 昨年は日高支庁管内で発生がやや多かったものの、全道的には少発生であった。
    2. 岩見沢市および大野町の予察田では第1回成虫の発生が認められていないことから、第2回成虫の発生も少ないと見込まれる。



B.小麦

赤かび病  発生量:秋まき小麦=やや多、春まき小麦=やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病の感染は、開花期が多湿条件下で経過すると多くなり、その後の降雨で発病が助長される。
    2. 秋まき小麦では、出穂後低温・降雨の時期があったため、発生量はやや多と見込まれる。
    3. 春まき小麦でも、出穂期前後の気温は平年より低く降雨があったため、発生量は多めと見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 刈り遅れのないように注意し、刈取後収穫物は速やかに乾燥する。
    2. 春まき小麦では、出穂期から乳熟期までの気象経過に十分注意し、防除基準に準拠し、薬剤散布を行う。本病に対する感受性が最も高いのは開花期であり、穂に薬剤がかからないと効果がないため、開花期とその1週間後の2回散布を基本とする
    3. チオファネートメチル剤に対するM.nivale の耐性菌はほぼ全道で確認されているので、薬剤の選定には注意する。


うどんこ病 発生期:既発(早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 現在の予察ほの秋まき小麦での発生量は、平年並からやや多となっている。  
    2. 巡回調査によると、秋まき小麦では、6月3半旬には全道的に止葉の1枚下の葉に発生が認められている。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 春まき小麦では発生動向に注意し、必要に応じて防除を行う。穂・止葉・止葉の下1葉の発病を抑えれば収量に影響がない。
    2. DMI剤の感受性の低下が一部地域で確認されているので、他病害に対する散布を含めて、DMI剤を既に散布したほ場では、今後は水和硫黄剤を使用する。
    3. ストロビルリン系剤についても耐性菌が外国で報告されており、本州ではウリ類のうどんこ病で耐性菌が確認されている。このため散布は最小限にする。


赤さび病  発生期:既発(早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 現在の予察ほでの発生量は、長沼町では平年より多く、訓子府町・芽室町ではやや少から平年並である。
    2. 巡回調査によると、秋まき小麦では、6月3半旬に石狩・空知・上川・網走支庁管内で止葉の1枚下の葉に発生が認められている。空知支庁管内でやや発病が目立つほかは、発病葉率は低い。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. うどんこ病に準ずる。



C.豆類

細菌性病害:斑点細菌病(大豆)  発生期:既発  発生量:やや多
        褐斑細菌病(小豆)  発生期:並    発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 大豆の斑点細菌病・小豆の褐斑細菌病は種子伝染し、多湿な天候が続く場合に多発する。
    2. 近年発生が徐々に目立ってきている。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 発病が見られた場合は、薬剤の茎葉散布を行う。


炭そ病(小豆・菜豆)  発生期:既発(やや早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 芽室町の予察ほでは、菜豆の子葉に6月11日(平年:6月13日)、本葉に6月17日(平年:6月21日)に初発が認められた。
    2. 本病は6月下旬から7月の多湿で多発する。
    3. 前年の発生量は菜豆では平年より少なかった。
    4. 7月の降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。菌核病の発生が少なく炭そ病の発生が多いほ場では、1回目の散布にジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤が有効である。


菌核病  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は開花期以降の低温多湿で多発する。
    2. 7月は気温・降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 開花時期に注意し、薬剤散布にあたっては、大豆では開花の10〜15日目、小豆では7〜10日目、菜豆では5〜7日目に第1回散布を行い、その後必要に応じて、10日間隔で散布を継続する。
    2. 菌核病の発生が多いほ場では3回散布を行う。その際、1回目の防除薬剤にはジカルボキシイミド系剤(プロシミドン水和剤、イプロジオン水和剤)、またはフルアジナム剤が効果が高く、ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤は効果が劣る。


灰色かび病  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は菌核病と同様、開花期以降の低温多湿で多発する。
    2. 7月は気温・降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 菌核病に準ずる。
    2. 十勝地方の一部でフルアジナム剤の効果低下が認められている。このため、この地方では本剤は菌核病のみを対象とする。
    3. 同系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。


茎疫病(大豆・小豆)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月の降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 転換畑など過湿土壌で発生しやすいので、ほ場の排水に努める。


べと病(大豆)  発生期:やや早  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は多湿条件で多発する。
    2. 大豆の生育が進んでいること、7月の降水量は平年並だが多めと予報されていることから、発生期はやや早、発生量は平年並からやや多と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 抵抗性が弱の品種および黒大豆で、防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


わい化病(大豆)  発生期:並  発生量:やや少
黄化病(菜豆)   発生期:並  発生量:やや少

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 6月のジャガイモヒゲナガアブラムシの発生量は平年並からやや多であった。
    2. アブラムシの飛来が出芽以前に集中した。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う(わい化病)。 


食葉性鱗翅目幼虫  発生期:既発(やや早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年の発生量は高温経過から全道的に多発生であった。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、被害量は平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 開花期から莢伸長期に葉を食害されると最も収量に影響するが、この時期の食害葉面積率20%で5%程度の減収となる。
    2. 大豆1個体当たりの寄生幼虫頭数で、開花前で1頭、開花期頃で2頭、莢伸長期以降で3頭以下であれば、防除の必要性はない。


アズキノメイガ  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年は、高温経過から全道的に多めの発生となった。
    2. 本種の発蛾最盛期は7月中〜下旬である。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 産卵盛期から7〜10日間隔で薬剤散布を行う。


ハダニ類  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生期、発生量とも平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 薬剤抵抗性の発達を避けるため、同一薬剤の連用・過用をさける。


ジャガイモヒゲナガアブラムシ(大豆)  発生期:既発(早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 現在の発生量は平年並からやや多である。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並からやや多で推移すると見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


マメアブラムシ(小豆)  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生期、発生量とも平年並と見込まれる。 


  2. 防除対策
    1. 発生状況に注意し、発生初期に薬剤防除を行う。 


D.ばれいしょ

疫病  発生期:やや早〜並  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は多湿条件で多発する。
    2. これまでの気象経過と、7月の気温は平年並だが低温となる時期がある、降水量は平年並だが多めと予報されていることから、初発期はやや早から並、発生量は平年並からやや多と見込まれる。
    3. 発生予測システム(FLABS)によると、各予察ほでの発病好適指数の累積値は表のとおりである。なお、FLABSは累積値が21に達した日を基準日として初発日を予測するシステムである。予測初発日は、6月下旬から7月上旬に基準日に達した場合はその12〜15日後、7月中旬に達した場合は9〜12日後である。


    地点   萌芽日 累積値*  基準日到達日 予測初発日
    大野   5月16日 21  6月24日 7月10日
    長沼 農林1号 6月1日 21  6月24日 7月10日
    男爵 6月6日 12 - -
    芽室 紅丸 5月28日 17 - -
    男爵 6月3日 13 - -
    訓子府
    (アメダス地点:北見)
    男爵・紅丸 5月30日 12 - -

    *6月24日現在

  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠し、FLABSを活用し初発の早期発見に努め、適期防除を行う。
    2. フェニルアマイド系薬剤には一部地域で耐性菌が認められているので使用に当たっては注意する。



アブラムシ類  発生期:既発(並)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 定点調査ではジャガイモヒゲナガアブラムシの発生量は平年並で、巡回調査では網走支庁管内の一部で多めとなっているほかは発生量は多くない。
    2. 主体となるモモアカアブラムシ、ワタアブラムシは近年発生が少ない。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、アブラムシの発生量は平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。



E.てんさい

褐斑病  発生期:並  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は高温多湿で多発する。
    2. 昨年多発したため、残さ等の伝染源が多いと思われる。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して、発病株率が50%に達した時点で薬剤散布を開始する。


テンサイモグリハナバエ  発生期:既発(並)  発生量:やや少

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 昨年は全道的に発生量は少なめであった。
    2. 第1世代の発生量は芽室町で多かったが、長沼町・訓子府町では認められなかった。
    3. 7月の気温は平年並と予報されており、第2世代の発生量は昨年および第1世代の発生量からみて、平年よりやや少ないと見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 幼虫の加害初期から最盛期(平年:6月中旬〜7月上旬)にかけて薬剤散布する。
    2. 通常の発生では、てんさいの生育が進み被害が軽いので単独防除の必要はなく、ヨトウガ等との同時防除が可能である。


ヨトウガ(第1回)  発生期:既発(早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町・芽室町の産卵量は平年より多めとなっているが、訓子府町では平年並である。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、被害は平年並からやや多と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 茎葉散布は被害株率が50%に達した時点で行い、1回で十分である。



F.りんご

黒星病  発生期:既発(並)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察園での発生量は、「ふじ」では平年より少なく、「スターキングデリ シャス」では平年より多く推移している。
    2. 一般園では胆振支庁管内の一部で発生が見られるものの、巡回調査によるとほとんどの園地では問題となっていない。
    3. 7月の降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を継続する。


斑点落葉病  発生期:既発(早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は高温多湿で多発し、特に2〜3日の連続した降雨で急増する。
    2. 長沼町の予察園での初発は6月15日(平年:6月23日)で平年より早かったものの、発生量は平年並に推移している。
    3. 7月の気温・降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を継続する。


ハダニ類 発生期:既発(並) 発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 現在の発生量はリンゴハダニが長沼町の予察園および一般園の仁木町、余市町で多めとなっているが、ナミハダニは少ない。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 同一系統の薬剤を使用すると薬剤抵抗性の発達が急速に進むので、異なる系統の薬剤のローテーション散布を実施する。
    2. 一部の地域のナミハダニで、ピラゾール系剤(フェンピロキシメート水和剤、テブフェンピラド乳剤)、BPPS水和剤およびヘキシチアゾクス水和剤で感受性の低下がみられている。該当する地域では同系統の剤を同一年度に散布することを控え、年度を変えてのローテーション散布を行う。


ハマキムシ類  発生期:既発(並)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町におけるフェロモントラップによる成虫の誘殺始は平年並で、リンゴコカクモンハマキの誘殺数は多めとなっているが、リンゴモンハマキの誘殺数は平年並に推移している。また、余市町、仁木町では両種とも平年並に推移している。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


キンモンホソガ  発生期:既発(並)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 第1回成虫の発生量は長沼町で多めとなったが、仁木町および余市町で平年並であった。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、第2回成虫の発生量は平年並になると見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


モモシンクイガ  発生期:既発(やや早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年の発生量は長沼町の予察園では平年並であったが、一般園では少なめであった。
    2. 現在、長沼町の予察園では未発生であるが、余市町ではやや多めとなっている。
    3. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、被害は平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。



G.たまねぎ

白斑葉枯病  発生期:既発(やや早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 予察ほでは、長沼町では未発生(平年:6月18日)であるが、訓子府町では6月8日(平年:7月3日)と平年よりかなり早く初発が認められ、発生量は平年より多く推移している。
    2. 本病は多湿条件で多発する。
    3. 7月の降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


軟腐病  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は多雨で多発する。
    2. 7月の降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


ネギアザミウマ  発生期:既発(やや早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 成虫の初発期は長沼町では平年より半旬早く6月2半旬であった。長沼町では発生量は少なめとなっているが訓子府町では多めとなっている。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並からやや多と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除開始時期は、成虫の寄生株率が10%以上になったら10日以内、または簡易トラップで多飛来が認められてから5日以内とする。
    2. 追加防除は、寄生程度指数20、寄生株率50%を目安に行う。



H.あぶらな科野菜

軟腐病  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は高温多雨で多発する。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


コナガ  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. フェロモントラップによる誘殺数は、6月上旬の大野町以外は各定点ともほぼ平年並となっている。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されており、現在までの成虫飛来量からみて、幼虫による被害は平年並になると見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 薬剤抵抗性が発達した害虫なので、ローテーション散布を実施する。なお、合成ピレスロイド系殺虫剤では抵抗性個体群が出現しているので単剤では使用しない。
    2. 防除にあたっては、他害虫の発生に注意し、効率的な防除体系を組み立てる。


モンシロチョウ  発生期:既発(やや早)  発生量:やや少

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町および大野町の予察ほでは、成虫の発生量は平年より少ない。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されており、現在の成虫の発生量からみて、幼虫による被害は平年より少ないと見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 成虫の飛来が目立ち産卵が多いほ場では、防除基準に準拠して薬剤散布を行う。
    2. 防除にあたっては他害虫の発生に注意し、同時防除できる薬剤を選択する。


ヨトウガ  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月の気温、降水量は平年並と予報されており、また昨年の発生が多かったことから被害は平年並からやや多と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。



I.野菜類全般

灰色かび病(施設栽培)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は低温多湿条件で多発する。施設栽培では管理条件によって発生が大きく左右される。
    2. 7月の気温、降水量は平年並と予報されている。
    3. 夏期はハウス内が高温になりやすいため、発病が抑えられることが多い。


  2. 防除対策
    1. 換気、灌水などハウス管理を適切に行い、発病に適した環境を作らない。また、発病葉・果実のつみ取りを行い、伝染源をハウス内に放置しない。  
    2. 防除基準に準拠し、発病初期からの防除を心がける。多発してからの薬剤散布効果は期待できない。
    3. 一部の地域では、ジカルボキシイミド系剤、チオファネートメチル・ジエトフェンカルブ水和剤の耐性菌が確認されているため、薬剤の選択には注意する。 


ハダニ類  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生期、発生量とも平年並と見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 薬剤抵抗性の発達を避けるため、同一薬剤の連用・過用をさける。 


アブラムシ類  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月の気温、降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並になると見込まれる。


  2. 防除対策
    1. 発生状況に注意し、発生初期に薬剤散布を行う。



付記

北海道地方 3か月予報

(7月から9月までの天候見通し)

平成13年6月20日
札幌管区気象台発表

3か月(7〜9月)の気温の各階級の確率(%)

[気温]

北海道地方
20 40 40
 
低い
平年並
高い

3か月平均気温は、平年並か高い可能性が大きく、その確率は共に40%です。

可能性の大きな天候見通し

7月
天気は概ね周期的に変わりますが、オホーツク海高気圧や気圧の谷の影響を受け、天気のぐずつく時期があるでしょう。
8月
太平洋高気圧に覆われて、平年と同様に暑い日が多いですが、後半を中心に上空の寒気の影響を受ける日があるでしょう。
9月
天気は概ね周期的に変わりますが、前半は残暑が厳しく、その後は気圧の谷の影響で天気のぐずつく時期があるでしょう。

3か月間降水量は平年並でしょう。

要素 予報対象地域 7月 8月 9月
気温 北海道全域 平年並 平年並 高い
降水量 北海道全域 平年並 平年並 平年並




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