平成13年度 病害虫発生予察情報 第3号

4月月報

平成13年 5月9日 北海道病害虫防除所

(連絡先:予察課 Tel.01238(9)2080(内)323

     Fax.01238(9)2082)



気象概況
A.秋まき小麦
B.りんご
C.あぶらな科野菜

I.気象概況

──『高温・少雨・多照』太平洋側で記録的少雨──

上旬前半や下旬前半は気圧の谷や寒気の影響で低温となった時期もあったが、その他は、高気圧に覆われ晴れた日が多く、高温多照で経過した。また、天気の崩れは小さく、広尾で月降水量の少ない極値を更新するなど、太平洋側で記録的な少雨(統計開始以来第1位)となった。

上旬:1日は弱い冬型の気圧配置や気圧の谷の影響で日本海側や東部で曇りや雪となったが、その他は概ね晴れた。2〜3日は前線を伴った低気圧が北部を通過し、通過後は冬型の気圧配置となった。このため南西部と日本海側では雨や雪が降った。総降水量は後志・胆振管内の多い所で30〜40ミリ。4日は初め冬型の気圧配置で北部や日本海側で曇りや雪となったが、夕方から高気圧の張り出しで全道的に晴れた。5日は寒冷前線が通過し、曇りで北部や南西部を中心に雨が降った。6日は高気圧の張り出しで概ね晴れたが、上空の寒気の影響で内陸部やオホーツク海側の一部で雨や雪が降った。7日は高気圧に覆われて全道的に晴れた。8日は東海上に中心を持つ高気圧に覆われてオホーツク海側や内陸部では晴れたが、その他は曇りで南西部では霧雨の所があった。9日は気圧の谷の影響で曇って太平洋側では霧となった。また、大気の状況が不安定となり、網走館内では雷やひょうを観測した。10日は高気圧の張り出しで概ね晴れた。稚内や札幌では黄砂を観測した。

中旬:11日は気圧の谷の影響で曇って太平洋側を中心に霧や霧雨となった。12〜13日は低気圧を含む気圧の谷や上空の寒気の影響で12日は全道的に曇りや雨となり、13日はオホーツク海側や北部を中心に雨が降った。総降水量は南西部や内陸部の多い所で30ミリ前後。14〜15日は14日日中は晴れたが、その後は低気圧や気圧の谷の影響で、南西部を中心に雨や雷雨となった。16〜18日は本州方面から張り出す高気圧に覆われて概ね晴れた。特に18日は全道的に晴れて気温が高くなり、オホーツク海側や太平洋側東部の内陸部では今年初めての夏日を記録した。日最高気温は網走27.0℃、佐呂間26.9℃、帯広26.4℃等。19日は高気圧の張り出しで晴れてオホーツク海側では夏日となった所があったが、太平洋側の海岸部では曇りや霧となった。20日は寒冷前線が通過し、ほとんどの地域で雨や雪となった。日降水量はオホーツク海側の多い所で10〜20ミリ。

下旬:21日は本州方面に中心を持つ高気圧の張り出しで、概ね晴れた。22日は概ね晴れたが、気圧の谷の影響で、北部やオホーツク海側で雨や雪となった。23〜24日は低気圧の影響で、23日は南西部や日本海側を、24日は北部を中心に曇りや雨となった。総降水量は北部の多い所で10〜20ミリ。25〜26日は概ね晴れたが、上空の寒気や気圧の谷の影響で北部や東部の一部で曇り、雨の降った所があった。27〜28日は本州方面から張り出す高気圧に覆われ、概ね晴れた。29〜30日はオホーツク海に中心を持つ冷たい高気圧に覆われ、概ね晴れたが、29日は東部を、30日はオホーツク海側を中心に曇りや霧雨となった。特に30日は最高気温が北見枝幸2.5℃、雄武・紋別2.6℃等、オホーツク海側を中心に低温となった。

気候表
  気温偏差 階級 降水比 階級 日照比 階級
北海道22地点平均 +1.1℃ 51% かなり少 110%
太平洋側8地点平均 +1.1℃ 30% かなり少 113%
オホーツク海側4地点平均 +1.6℃ かなり高 62% 109%
日本海側10地点平均 +0.9℃ 65% 108%


II.病害虫発生概況

A.秋播き小麦

1.雪腐病   発生量  少〜やや少
長沼町および芽室町の予察ほでは平年より少ない発生であった。訓子府町の予察ほでの発生量はやや少〜平年並であった。病原菌別発生割合は長沼町では雪腐褐色小粒菌核病が、訓子府町では雪腐黒色小粒菌核病と紅色雪腐病が、芽室町では雪腐大粒菌核病と雪腐黒色小粒菌核病が多かった。
一般ほにおける発生量は石狩・空知および十勝支庁管内では、平年より少ない発生であった。

予察ほにおける発生状況
地点 品種名   発病度 病原菌別発生割合(%) 平年数
大粒 黒小 褐小 紅色 褐色
長沼 チホクコムギ 本年 7.5 0.0 0.0 100.0 0.0 0.0 10
平年 28.0 0.0 0.1 44.4 46.5 9.0
ホクシン 本年 3.8 0.0 0.0 100.0 0.0 0.0 6
平年 19.3 0.0 1.8 48.3 33.3 16.7
訓子府 チホクコムギ 本年 35.0 2.7 52.7 10.7 33.9 0.0 10
平年 38.3 9.2 7.8 1.8 79.2 2.0
ホクシン 本年 20.0 4.2 59.2 14.1 22.5 0.0 1
平年 30.0 78.3 5.3 4.0 12.3 0.0
芽室 チホクコムギ 本年 72.0 33.6 61.4 0.6 4.4 0.0 2
平年 97.6 0.5 94.0 4.5 1.0 0.0
ホクシン 本年 55.6 60.3 32.4 4.9 2.5 0.0 2
平年 90.2 0.0 94.5 5.0 0.5 0.0
注)大粒:雪腐大粒菌核病,黒小:雪腐黒色小粒菌核病,褐小:雪腐褐色小粒菌核病,
  紅色:紅色雪腐病,褐色:褐色雪腐病

2.うどんこ病   発生期  早   発生量  - 
予察ほでの発生は、芽室町では平年より2週間前後も早くに初発が確認された。長沼町では「ホクシン」で平年より早く、「チホクコムギ」では平年並であった。訓子府町では未発生である。

予察ほにおける発生状況
地点 品種名   初発日 4月6半旬 平年数
発病度 病斑面積率
長沼 チホクコムギ 本年 5月4日 0.00 0.00 10
平年 5月5日 0.37 0.00
ホクシン 本年 5月6日 0.00 0.00 6
平年 5月18日 0.00 0.00
訓子府 チホクコムギ 本年 -   0.00 10
平年 5月2日 0.51
ホクシン 本年 - 0.00 1
平年 5月8日 0.00
芽室 チホクコムギ 本年 4月17日   0.46 2
平年 5月3日 0.00
ホクシン 本年 4月25日 0.03 3
平年 5月6日 0.03
注)長沼町の病斑面積率の平年数は3年。

3.赤さび病   発生期  早   発生量  -
予察ほでの発生は、長沼町では平年より1ヶ月近くも早くに初発が確認された。芽室町と訓子府町では未発生である。一般ほでは胆振および十勝支庁管内の一部で平年より早く初発が確認された。

予察ほにおける発生状況
地点 品種名   初発日 4月6半旬 平年数
発病度 病斑面積率
長沼 チホクコムギ 本年 4月19日 0.84 0.006 10
平年 5月16日 0.06 0.000
ホクシン 本年 4月18日 0.77 0.022 6
平年 5月10日 0.23 0.035
訓子府 赤銹不知1号 本年 -   0.000 10
平年 6月8日 0.004
チホクコムギ 本年 - 0.000 10
平年 6月28日 0.000
ホクシン 本年 - 0.000 1
平年 6月11日 0.000
芽室 チホクコムギ 本年 -   0.000 1
平年 5月19日 0.000
ホクシン 本年 - 0.000 3
平年 5月16日 0.015
注)長沼町の病斑面積率の平年数は3年。

B.りんご

1.腐らん病   発生量  多
長沼町の予察園では胴腐らんが目立っている。普及センターからの報告によると、余市町および仁木町の一般園では、胴腐らん・枝腐らんとも多くなっている。

2.リンゴハダニ   越冬卵量  やや少
1短果枝当たり越冬卵数は、長沼町で8.0個(平年:29.5個)、余市町・仁木町平均0個(平年:18.1個)と平年よりも少なかった。
越冬卵のふ化はまだ始まっていない(平年:5月11日)。

3.ハマキムシ類(ミダレカクモンハマキ)   越冬量  並
長沼町における越冬卵塊密度は5年枝1枝当り0個(平年:0.4個)と少なかったが、余市町では0.1個(平年:0.2個)、仁木町では0.2個(平年:0.02個)と、平年並からやや多くなっている。
ふ化はまだ確認されていない(平年:5月6日)。

C.あぶらな科野菜

1.コナガ(フェロモントラップ)   誘殺始  早  誘殺数  並  
大野町のフェロモントラップによる成虫の初誘殺は4月9日(平年4月25日)と早かった。誘殺数は現在のところ平年並である。

半旬別フェロモントラップ誘殺数
月・半旬 大野 長沼
本年 平年 本年 平年
4.I - 0.1 - -
4.II 6 0.1 - -
4.III 1 0.2 - -
4.IV 0 0.8 6 0.0
4.V 0 1.2 0 7.7
4.VI 0 1.3 8 1.0


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