平成13年度　病害虫発生予察情報第1号

長期予報

平成13年3月28日　北海道病害虫防除所

（連絡先：予察課　Tel.01238(9)2080（内）323
　　　　　Fax.01238(9)2082）


平成13年暖候期予報
平成13年度に特に注意を要する病害虫
平成13年度の病害虫の発生予想
１．水稲
２．麦類・とうもろこし
３．豆類
４．ばれいしょ・てんさい・たまねぎ
５．りんご
６．あぶらな科野菜
付記（気象グラフ）



平成13年度暖候期予報

　札幌管区気象台発表の3月12日付けの暖候期予報（付記）によると、夏平均気温（6〜8月）は、「平年並」の可能性が大きく、その確率は50％です。次に大きいのは「高く」なる可能性で、その確率は30％です。

　また、3月21日付け発表の3ヶ月予報によると、根雪の終日は以下のように予想されています。

長期積雪（根雪）の終日：現在の積雪は、東部の一部を除いて平年を上回っているところが多く、今後3月に一時高温となるが、4月は低温を予想しているため、平年並か平年より遅れるところが多い見込み。
特に遅れるところは、

時期別の気象経過は次のように予想されています。
春(4〜5月)：
平年と同様、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日周期で変わるが、4月には低気圧の通過後に寒気が入って一時冬型の気圧配置となる日もある。この期間の気温は平年並だが寒暖の変動が大きく、晩霜の恐れがある。この期間の降水量は平年並の見込み。
夏(6〜9月)：
6月後半から7月前半を中心にオホーツク海高気圧や気圧の谷の影響を受けやすく、天気がぐずつき低温の続く時期がある。盛夏期（7〜8月）も平年と同様に、オホーツク海高気圧の影響を受ける時期もあるが長続きはせず、太平洋高気圧に覆われ晴れて暑い日が多い。また、8月後半〜9月にかけては寒気や前線の影響で、一時天気がぐずつく時期がある。
この期間の平均気温は平年並だが、気温の変動が大きい。この期間の降水量も平年並だが、例年8月〜9月にかけては大雨が発生しやすい時期であり、今年も局地的大雨の発生する時期がある。

平成13年度に特に注意を要する病害虫

近年の発生状況及び平成13年度暖候期予報から注意を要する病害虫は以下のとおりです。
1．水稲のいもち病
前年多発し伝染源が多いこと、6月後半から7月前半を中心に天気がぐずつき低温の続く時期があり、盛夏期は晴れて暑い日が多いが一時オホーツク海高気圧の影響を受けると予報されていることから、発生量はやや多いと予想される。初発予測システムBLASTAMを参考にし、早期発見に努める。

2．水稲のヒメトビウンカ
昨年の8月以降の高温経過により秋の発生量が多くなったことから、畦畔での幼虫越冬量が多いと見込まれる。

3．水稲のイネドロオイムシ
６月から７月にかけては天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されている。成虫の産卵期間がのび、幼虫の加害も長引き被害が多くなる可能性があるので、卵塊調査を実施して適正な防除に努める。卵塊調査には「北の虫見番」を活用する。

4．小麦の赤かび病
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されていることから、発生量はやや多いと予想される。

5．大豆のわいか病・菜豆の黄化病・ジャガイモヒゲナガアブラムシ
昨年の秋が好天経過であったことから産卵に好適となり、5月から6月前半にかけては平年並の気温と予想されていることから有翅虫の発生はやや多いと予想される。

6．小豆の茎疫病
例年8月〜9月にかけては大雨が発生しやすい時期であり、今年も局地的大雨の発生する時期があると予報されていることから、発生量はやや多いと予想される。

7．てんさいの褐斑病
盛夏期は太平洋高気圧に覆われて晴れて暑い日が多い、8月後半〜9月にかけては一時天気がぐずつく時期があると予報されていることから、発生量はやや多いと予想される。

8．てんさいのヨトウガ
昨年は第1回、第2回とも全道的に発生量が多かったことから、越冬蛹量が多いと見込まれる。

9．りんごの腐らん病
近年多発生で推移しており、被害部の削り取りや薬剤塗布が十分に行われていない現状にあるため、本年も引き続き多発が予想される。発芽前の薬剤散布、被害部の削り取りや薬剤の塗布などを徹底する。

10. りんごのリンゴハダニ
昨年秋の発生量が多かったことから、越冬卵量が多いと考えられる。

11．たまねぎの白斑葉枯病
6月から7月前半を中心に天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されていることから、発生期はやや早く、発生量はやや多くなると予想される。

12．あぶらな科野菜の軟腐病
8月後半〜9月にかけては一時天気がぐずつく時期がある、例年8月〜9月にかけては大雨が発生しやすい時期であり、今年も局地的大雨の発生する時期があると予報されていることから、後半の作型で発生量はやや多いと予想される。　

13．あぶらな科野菜のヨトウガ
昨秋の成虫発生量は例年になく多く、幼虫数も多かったことから、越冬蛹量も多いと考えられる。
春の成虫発生量が多い場合にはコナガとの同時防除を実施する。

平成13年度の病害虫の発生予想

注１）近年の発生状況：平年値（過去10年間の平均値）と比較した値。
　　　◎：やや多〜多　　□：並　　△：やや少〜少
　２）初発期：予察ほの平年値。*：予察ほで調査していないため、一般的な値。

１．水稲
作物名 病害虫名 近年の発生状況 初発期 発生予想（平年対比）
8 9 10 11 12 発生期 発生量
水稲 ばか苗病 □ △ △ □ △ - - やや少
苗立枯病（細菌病含） □ △ △ △ △ - - 並
縞葉枯病 △ △ △ △ △ 6.V* 並 並
いもち病（葉） □ □ △ △ ◎ 7.IV 並 やや多
いもち病（穂） □ □ △ △ ◎ 8.III 並 やや多
紋枯病 △ △ △ □ △ 8.II 並 並
葉しょう褐変病 △ △ □ △ △ - - やや少
褐変穂 △ △ △ △ △ - - やや少
イネミギワバエ △ △ □ ◎ □ 4.VI 並 並
イネハモグリバエ △ △ □ □ △ 5.VI 並 並
イネミズゾウムシ ◎ ◎ □ □ □ 5.VI 並 並
ヒメトビウンカ △ △ △ △ △ 5.VI やや遅 並〜やや多
イネドロオイムシ ◎ □ □ □ □ 6.I 並 やや多
フタオビコヤガ △ ◎ △ ◎ ◎ 5.VI 並 並
アカヒゲホソミドリカスミカメ △ △ □ ◎ ◎ 6.III 並 並
ニカメイガ □ ◎ □ □ ◎ 6.II やや遅 並

２．麦類・とうもろこし
作物名 病害虫名 近年の発生状況 初発期 発生予想（平年対比）
8 9 10 11 12 発生期 発生量
麦類 赤さび病 △ △ □ ◎ ◎ 5.III やや早 並
うどんこ病 □ △ △ △ △ 5.I 並 並
赤かび病 ◎ △ △ △ △ - - やや多
眼紋病 □ △ △ △ ◎ - - 並
ムギクロハモグリバエ □ △ △ △ □ 5.VI 並 少
ムギキモグリバエ □ □ △ △ △ 5.VI やや遅 並(春まき)
アブラムシ類 □ □ □ △ △ 6.V* やや遅 やや少
とうもろこし アワノメイガ □ △ △ □ △ 7.II 並 やや少
アブラムシ類 □ △ △ △ △ 6.V* やや遅 やや少

３．豆類
作物名 病害虫名 近年の発生状況 初発期 発生予想（平年対比）
8 9 10 11 12 発生期 発生量
大豆 べと病 □ □ ◎ △ ◎ 7.V やや早 やや少
わい化病 ◎ △ △ △ △ 6.VI* - やや多
食葉性鱗翅目幼虫 □ □ □ △ ◎ 6.I 並 並
ジャガイモヒゲナガアブラムシ △ △ △ □ □ 6.II* 並 やや多
マメシンクイガ □ △ △ △ ◎ 8.II 並 並
タネバエ △ □ △ △ ◎ - - 並
小豆 菌核病 □ △ □ △ □ 8.I* 並 やや少
灰色かび病 □ ◎ □ △ △ 8.I* 並 やや少
輪紋病 □ □ ◎ △ △ 7.III* 並 並
茎疫病 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ - - やや多
食葉性鱗翅目幼虫 □ △ △ □ ◎ 6.I 並 並
アズキノメイガ △ △ △ □ ◎ 7.II 並 並
タネバエ △ □ ◎ △ ◎ - - 並
菜豆 菌核病 □ △ ◎ △ △ 7.VI 並 やや少
灰色かび病 □ △ △ △ △ 7.VI 並 やや少
炭そ病 □ △ △ □ △ 子葉 6.III 並 並
茎葉 6.V
莢　 7.VI
黄化病 ◎ □ △ △ △ - 並 やや多
タネバエ △ □ ◎ △ ◎ - - 並

４．ばれいしょ・てんさい・たまねぎ
作物名 病害虫名 近年の発生状況 初発期 発生予想（平年対比）
8 9 10 11 12 発生期 発生量
ばれいしょ 疫病 ◎ △ ◎ △ △ 7.III やや早 並
葉巻病 △ △ △ △ △ - - 並
軟腐病 □ △ ◎ ◎ ◎ 7.II* 並 並
黒あざ病 □ ◎ □ □ △ 6.I* 並 やや少
黒あし病 □ □ △ △ △ 6.I* 並 やや少
そうか病 □ ◎ □ □ □ - - 並
粉状そうか病 　 □ ◎ ◎ □ - - 並
アブラムシ類 □ △ □ △ △ 6.III やや遅 並
てんさい 褐斑病 □ □ △ □ ◎ 7.V 並 並
根腐病 □ △ □ ◎ ◎ 6.VI* 並 並
テンサイトビハムシ △ △ △ △ □ 5.II 並 並
テンサイモグリハナバエ △ △ △ △ △ 6.II 並 やや少
ヨトウガ（第1回） △ □ □ □ ◎ 6.I 並(成虫) やや多
ヨトウガ（第2回） △ □ □ ◎ ◎
たまねぎ 白斑葉枯病 ◎ △ △ △ △ 6.VI やや早 並〜やや多
軟腐病 ◎ ◎ ◎ △ □ 6.VI* 並 並
乾腐病 △ △ △ ◎ ◎ - - 並
タマネギバエ □ □ ◎ △ □ - - 並
ネギアザミウマ □ ◎ □ □ □ 6.III やや遅 並

５．りんご
作物名 病害虫名 近年の発生状況 初発期 発生予想（平年対比）
8 9 10 11 12 発生期 発生量
りんご モニリア病 □ 花◎ △ △ △ 5.II* 並 並
実△
黒星病 □ △ □ △ △ 6.I 並 並
斑点落葉病 □ □ ◎ ◎ ◎ 6.VI 並 並
腐らん病 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ - - やや多
ハマキムシ類 △ ◎ □ △ △ 5.II 並 やや少
モモシンクイガ △ △ △ △ △ 6.VI 並 やや少
キンモンホソガ △ △ △ ◎ □ 5.II 並〜やや遅 並
ハダニ類 △ △ △ △ △ 5.II やや遅 並〜やや多(リンゴハダニ)
並(ナミハダニ)

６．あぶらな科野菜
作物名 病害虫名 近年の発生状況 初発期 発生予想（平年対比）
8 9 10 11 12 発生期 発生量
だいこん 軟腐病 □ □ □ ◎ ◎ 7.I* - 並〜やや多
アブラムシ類 □ △ △ △ △ - - 並
キスジトビハムシ △ △ ◎ ◎ ◎ - 並 並
はくさい 軟腐病 ◎ △ ◎ □ ◎ 7.I* - 並〜やや多
キャベツ モンシロチョウ △ □ ◎ □ □ 5.I* 並 並
コナガ △ □ □ ◎ △ - - 並
ヨトウガ □ □ □ ◎ ◎ 6.I 並 やや多

付記　北海道地方　暖候期予報
（４月から９月までの天候見通し）

平成１３年３月１２日
札幌管区気象台発表　

＜夏（6〜8月）の気温の各階級の確立（％）＞

北海道地方
20 50 30
気候的出現率
30 40 30
　
低い
平年並
高い

夏平均（6月から8月）気温は平年並の可能性が大きく、その確立は50％です。

＜可能性の大きな天候見通し＞

4月から5月:
平年と同様、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日周期で変わるが、4月には低気圧の通過後に寒気が入って一時冬型の気圧配置となる日もある。この期間の気温は平年並だが寒暖の変動が大きく、晩霜の恐れがある。この期間の降水量は平年並の見込み。
6月から9月:
6月後半から7月前半を中心にオホーツク海高気圧や気圧の谷の影響を受けやすく、天気がぐずつき低温の続く時期がある。盛夏期（7〜8月）も平年と同様に、オホーツク海高気圧の影響を受ける時期もあるが長続きはせず、太平洋高気圧に覆われ晴れて暑い日が多い。また、8月後半〜9月にかけては寒気や前線の影響で、一時天気がぐずつく時期がある。
この期間の平均気温は平年並だが、気温の変動が大きい。この期間の降水量も平年並だが、例年8月〜9月にかけては大雨が発生しやすい時期であり、今年も局地的大雨の発生する時期がある。

＜日本付近の偏西風の流れと、おおよその天候経過の予想＞


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