平成12年度 病害虫発生予察情報 第19号

8月予報

平成12年7月 25日 北海道病害虫防除所

(連絡先:予察課 Tel.01238(9)2080(内)323

     Fax.01238(9)2082)


季節予報(付記)によれば、8月は、太平洋高気圧に覆われて、平年と同様に晴れて暑い日が多いが、気圧の谷の影響で一時天気がぐずつくと予報されています。
これまでの発生状況と季節予報から、多めの発生が予想される病害虫は、水稲のいもち病、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、フタオビコヤガ、アカヒゲホソミドリカスミカメ、豆類の灰色かび病、大豆のべと病、大豆・小豆の茎疫病、大豆・小豆の食葉性鱗翅目幼虫、ばれいしょの疫病、軟腐病、アブラムシ類、てんさいの褐斑病、ヨトウガ、りんごの斑点落葉病、ハダニ類、ハマキムシ類、キンモンホソガ、モモシンクイガ、たまねぎの軟腐病、ネギアザミウマ、あぶらな科野菜の軟腐病、モンシロチョウ、コナガがあげられます。

A.水稲
B.とうもろこし
C.豆類
D.ばれいしょ
E.てん菜
F.りんご
G.たまねぎ
H.あぶらな科野菜
I.野菜類全般
季節予報

A.水稲

いもち病(葉いもち)  発生期:既発(やや早)  発生量:やや多
     (穂いもち)  発生期:やや早  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 予察田での初発は、以下のとおりで、大野町・岩見沢市では平年より早く、比布町では平年並であった。発生量は、大野町・岩見沢市では平年より多く、比布町では平年より少なく推移している。
      予察田における発生期
      地点 品種名 葉いもち初発期 平年数
      本年 平年
      大野町 きらら397 7月7日 - 0
      しまひかり 7月7日 7月15日 10
      岩見沢市 きらら397 7月6日 7月30日 10
      キタヒカリ 7月6日 7月11日 10
      比布町 きらら397 7月17日 7月18日 6
      ほしのゆめ 7月17日 7月15日 4

    2. 普及センターからの報告によると、渡島・後志・空知・上川・留萌・網走・胆振・日高地方で発生が確認されており、空知・上川・留萌・胆振地方の一部ではずりこみ症状がみられている。
    3. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
    4. 水稲の生育は平年より早く、出穂期も早いことから、穂いもちの発生期も早めとなろう。
  2. 防除対策
    1. 葉いもちは初発予測システムBLASTAMを参考にし、好適日・準好適日の出現約1週間後にほ場を見回り、早期発見に努める。特に常発地帯や前年度多発したほ場では注意する。
    2. 穂いもち防除の1回目は出穂期とし、適期を失しないように注意する。特に有人ヘリによる防除では適期に散布できない場合があるため状況に応じて地上散布を行う。

ヒメトビウンカ  発生期:既発(並)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 前年秋季の発生量は全道的に多めであった。
    2. 第2回成虫のすくい取りでの初発は、岩見沢市で7月3半旬(平年:7月3半旬) と平年並であったが、大野町では7月2半旬(平年:7月6半旬)、比布町で7月2 半旬(平年:7月3半旬)と早くなった。  
    3. 7月の成虫発生量は、岩見沢市・大野町・比布町とも平年より多くなっている。  
    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年より多いま まで推移すると考えられる。
  2. 防除対策
    1. 夏期に発生密度が株当り50頭以上になると吸汁害が発生する恐れが高いため、多発 が予想される場合は薬剤散布を行う。

セジロウンカ  発生期:既発(早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 成虫の初発は大野町のすくい取りで7月5日(平年:7月15日)と、平年より早く なった。  
    2. 成虫の発生量は大野町では多いが、岩見沢市・比布町では平年並である。
    3. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は並からやや多で推移すると考えられる。
  2. 防除対策
    1. 水田中央など風通しの悪い場所での発生に注意し、多発生を見たら薬剤散布する。

フタオビコヤガ  発生期:既発(早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 第2回成虫の初誘殺は、大野町で6月26日(平年:6月30日)とやや早かったが、 岩見沢市では7月1半旬(平年:7月1半旬)、比布町で6月30日(平年:6月30 日)と平年並であった。
    2. 大野町・岩見沢市・比布町とも幼虫による被害葉率は平年より多めに推移している。
      予察田における被害葉率
      地点
      月半旬
      大野町 岩見沢市 比布町
      本年 平年 本年 平年 本年 平年
      7.I 0.4 0.0 4.1 3.0 2.2 0.2
      II 0.3 0.0 2.1 1.9 1.3 0.2
      III - 0.2 2.0 1.6 1.6 0.4
      IV 3.7 0.3 3.2 1.2 6.2 1.3

    3. 誘殺数は、これまで岩見沢市では多めとなっているが、大野町・比布町ではやや少なくなっている。
      予察灯による誘殺状況
      地点
      月半旬
      大野町 岩見沢市 比布町
      本年 平年 本年 平年 本年 平年
      7.I  13 5.4 47 15.4 28 25.8
      II  21 14.4 89 39.8 38 38.7
      III  4 8.9 32 75.7 33 57.2
      IV  0 6.9 3 32.0 5 14.2

    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は多めのまま推移すると考えられる。
  2. 防除対策
    1. 幼虫や水面に浮いている笹舟型の蛹を見つけたら、次世代の発生に注意する。  
    2. 若齢幼虫期に防除基準に基づき茎葉散布を実施する。

アカヒゲホソミドリカスミカメ  発生期:既発(やや早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 6月からの高温経過により、比布町での第2回成虫の初誘殺は7月19日(平年:7月22日)とやや早まった。  
    2. 岩見沢市・大野町・比布町とも畦畔でのすくい取り数はほぼ平年並となっているが、3地点とも誘殺数は平年より多くなっている(7月18日付け注意報第11号)。
      予察灯によるアカヒゲホソミドリカスミカメの誘殺状況
      地点
      月半旬
      大野町 岩見沢市 比布町
      本年 平年 本年 平年 本年 平年
      7.I 7 1.9 11 14.9 3 4.8
      II 1 0.8 16 64.0 5 0.5
      III 19 2.4 250 131.1 23 2.5
      IV 73 8.8 51 78.5 5 9.3

    3. 8月の気温は平年並と予報されていることから、発生量は多めのまま推移すると考えられる。
  2. 防除対策
    1. 本田での薬剤散布は出穂期と7日後の2回を原則として実施し、3回目散布の要否は、散布予定日の2〜3日前にすくい取りを行い、2頭(20回振り当たり)を水準と して防除要否を決定する。なお、「ほしのゆめ」では割籾が多く斑点米が発生しやすいので特に注意を要する。
    2. 水田に隣接する麦類およびイネ科牧草での発生に注意し、その周辺の水田は特にていねいに防除を行う。


B.とうもろこし

アワノメイガ  発生期:既発(やや早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. フェロモントラップによる誘殺は大野町で6月4半旬(平年:6月5半旬)とやや早かったが、長沼町・芽室町では誘殺されていない。
    2. 近年発生が少なく、8月の気温は平年並と予報されていることから、発生量は平年並の少発生と考えられる。
  2. 防除対策
    1. 普通栽培(標準)で雄穂抽出の前後7〜10日間隔で茎葉散布を実施する。


C.豆類

炭そ病(小豆・菜豆)  発生期:既発(早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 芽室町の予察ほにおける菜豆「常富長鶉」の初発期は、茎葉6月14日(平年:6月21日)と平年より早く、現在までの発生量は平年より少なく推移している。
    2. 本病は多湿条件で発病が助長される。
    3. 7月中旬以降は降水量が多く本病に好適な条件が続いているが、近年特に菜豆では発生が少なく、また8月の降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。菌核病の発生が少なく炭そ病の発生が多いほ場では、1回目の散布にジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤が有効である。

菌核病  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は開花期以降の低温多湿で多発する。  
    2. 近年多発しておらず、伝染源は少ないと考えられる。
    3. 7月中旬以降は降水量が多く、本病に好適な条件が続いている。
    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 開花時期に注意し、薬剤散布にあたっては、大豆では開花の10〜15日目、小豆では7〜10日目、菜豆では5〜7日目に第1回散布を行い、その後必要に応じて、10日間隔で散布を継続する。  
    2. 発生が多いほ場では3回散布を行う。その際、1回目の防除薬剤にはジカルボキシイミド系剤(プロシミドン水和剤、イプロジオン水和剤)、またはフルアジナム剤が効果が高く、ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤は効果が劣る。

灰色かび病  発生期:既発(早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察ほ(小豆)では未発生である。芽室町の予察ほ(菜豆)での初発期は 7月17日(平年:7月26日)と平年より早く、発生量は平年より多く推移している。  
    2. 本病は菌核病と同様、開花期以降の低温多湿で多発する。
    3. 7月中旬以降は降水量が多く、本病に好適な条件が続いている。
    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 菌核病に準ずる。  
    2. 十勝地方の一部でフルアジナム剤の効果低下が認められているため、この地方では、 本剤は菌核病のみを対象とする。
    3. 同系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。

べと病(大豆)  発生期:既発(早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察ほにおける初発期(汚染種子)は、「キタホマレ」では6月30日(平 年:7月23日)、「トヨムスメ」では6月30日(平年:7月24日)と平年より早かっ た。発生量は少なめに推移している。
    2. 本病は多湿条件で多発する。
    3. 7月中旬以降は降水量が多く、本病に好適な条件が続いている。
    4. 8月の降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。

輪紋病(小豆)  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は多湿条件で多発する。
    2. 8月の降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。

茎疫病(大豆・小豆)  発生期:既発  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 現在、全道的に発生が見られており、やや多発しているところが多い。  
    2. 本病は過湿土壌で発生しやすく、大雨で畑が湛水すると多発する。
    3. 7月中旬以降は降水量が多く、本病に好適な条件が続いている。  
    4. 8月の降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 排水対策を講ずる。

食葉性鱗翅目幼虫(大豆・小豆) 発生期:既発(やや早) 発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町・訓子府町とも大豆では被害の進展は平年より早く、被害程度は多めに推移 しているが、小豆ではほぼ平年並の被害となっている。  
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量はこのまま平年並から多めで推移すると考えられる。
  2. 防除対策
    1. 開花期から莢伸長期に葉を食害されると最も収量に影響するが、この時期の食害葉面積率20%で5%程度の減収となる。
    2. 大豆1個体当たりの寄生幼虫頭数で、開花前で1頭、開花期頃で2頭、莢伸長期以降で3頭以下であれば、防除の必要はない。

アズキノメイガ(小豆・高級菜豆)  発生期:既発(早)  発生量:やや少

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 芽室町の予察灯では6月21日(平年:7月1日)に初誘殺されている。  
    2. 昨年は少発生であり、8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は少なめと考えられる。

ナミハダニ  発生期:既発  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 8月の気温は平年並と予想されていることから発生量は平年並と考えられる。
  2. 防除対策
    1. 薬剤抵抗性の発達を避けるため、同一薬剤の連用・過用をさける。

アブラムシ類(大豆・小豆)  発生期:既発(やや早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 大豆のジャガイモヒゲナガアブラムシは長沼町で平年並、訓子府町で少なめで推移 している。小豆のマメアブラムシは長沼町で7月半ばに観察されたが、中旬以降の降雨により発生が認められなくなった。
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(大豆)、マメアブラムシ(小豆)とも発生量は平年並と見込まれる。

マメシンクイガ(大豆)  発生期:並  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 8月の気温は平年並と予報されていることから成虫の発生期は平年並と考えられる。
    2. 近年発生量は少ないことから、越冬密度は低く、平年並の少発生と見込まれる。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して茎葉散布を実施する。


D.ばれいしょ

疫病  発生期:既発(並) 発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 予察ほでの初発は以下のとおりで、発生量は各地点とも平年より少なく推移している。
      予察ほにおける発生期
      地点 品種名 初発期 平年数
      本年 平年
      大野町 男爵薯 7月7日 7月9日 10
      長沼町 男爵薯 未発生 7月15日 10
      農林1号 未発生 7月16日 10
      訓子府町 男爵薯 7月12日 7月17日 10
      紅丸 7月11日 7月22日 10
      芽室町 男爵薯 7月12日 7月14日 10
      紅丸 7月15日 7月13日 10

    2. 普及センターからの報告によると、渡島・檜山・上川・十勝・釧路地方の一部で発生している。
    3. 本病は多湿条件で多発する。
    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されているが、7月中旬以降の気象経過が本病に好適に推移している。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠し、薬剤散布を継続する。  
    2. フェニルアマイド系薬剤には一部地域で耐性菌が認められているので使用に当たっては注意する。  
    3. 塊茎腐敗を防止するため、収穫は晴天の日に行い、十分に塊茎を乾燥させる。

軟腐病  発生期:既発  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は高温多湿で発病が助長される。
    2. 7月中旬以降は降水量が多く、本病に好適な条件が続いている(7月13日付け注意  報第10号)。  
    3. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠し、薬剤散布を継続する。

アブラムシ類  発生期:既発(並)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 訓子府町ではジャガイモヒゲナガアブラムシ、ワタアブラムシの発生が多く、モモアカアブラムシが少なくなっているが、長沼町ではいずれのアブラムシも発生が少ない。  
    2. 8月の気温は平年並と予報されていることから、ワタアブラムシの増加が見込まれ、アブラムシの発生量は平年並からやや多と予想される。
  2. 防除対策
    1. アブラムシの種類によって薬剤の効果が異なるので注意する。
    2. ワタアブラムシは下位葉に好んで寄生するので、散布量を多くするとともに、倒伏や過繁茂にならないようにする。
    3. ウイルス病が多発傾向にある場合は、採種ほのみならず一般ほでも防除を行い、ウイルス病の伝搬防止に努める。


E.てんさい

褐斑病  発生期:既発(早〜やや早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 予察ほでの初発は以下のとおりで、長沼町・訓子府町では平年より早く、芽室町ではやや早かった。
      予察ほにおける発生期
      地点 品種名 初発期 平年数
      本年 平年
      長沼町 めぐみ 7月15日 - 0
      アーベント 7月15日 - 0
      モノエースS - 7月22日 8
      訓子府町 モノエースS 7月18日 7月26日 8
      芽室町 モノエースS 7月18日 7月21日 9
      ストーク 7月18日 7月22日 2

    2. 普及センターからの報告によると、網走・十勝・釧路地方で発生が確認されている。
    3. 本病は高温多湿で多発する。
    4. 7月中旬以降は降水量が多く高温に経過しており、本病に好適な条件が続いている。  
    5. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 薬剤散布は発病株率が50%に達した時点から開始する。  
    2. 薬剤の残効を考慮して散布間隔を調節し、効率的な防除を行う。  
    3. 連作及び茎葉のすき込みほ場では発生しやすいので注意する。

ヨトウガ(第2回)  発生期:並  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 第1回成虫の発生期は平年並であったことから、第2回成虫の発生期も平年並にな  ると考えられる。
    2. 第1回幼虫による被害は、長沼町では平年並、芽室町・訓子府町では多めであり、  8月の気温・降水量が平年並と予報されていることから、第2回成虫の発生量は平年  並からやや多と予想される。
  2. 防除対策
    1. 薬剤散布は被害株率が50%に達した時点から開始する。  
    2. 初回防除の2週間後以降も被害が進展するときは追加防除を検討する。


F.りんご

黒星病  発生期:既発(早)  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察園では、平年より多く推移している。  
    2. 普及センターからの報告によると、渡島・空知・胆振地方で発生が見られるものの、平年並の少発生に推移している。  
    3. 本病は冷涼多雨で多発する。  
    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠し、斑点落葉病との同時防除に努める。特に葉に発病している場合は、果実に発病しないように、十分量の薬液を丁寧に散布する。  
    2. 不要な徒長枝はせん定し処分する。

斑点落葉病  発生期:既発(早)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察園では、ほぼ平年並に推移している。  
    2. 普及センターからの報告によると、渡島地方の一部で発生が確認されている。
    3. 本病は高温多湿で多発し、特に2〜3日の連続した降雨で急増する。
    4. 7月中旬以降は降水量が多く高温に経過しており、本病に好適な条件が続いている。
    5. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 黒星病の項に準ずる。

ハダニ類   発生期:既発(やや遅)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察園ではリンゴハダニ、ナミハダニとも発生量は平年並であるが、余市町・仁木町ではナミハダニの発生が多めとなっている。
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並からやや多で推移すると見込まれる。
  2. 防除対策
    1. 発生状況に注意し、薬剤散布を継続する。
    2. 同一系統の薬剤を使用すると薬剤抵抗性の発達が急速に進むので、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。

ハマキムシ類 発生期:既発(遅)  発生量: やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. フェロモントラップによる成虫の誘殺数は、リンゴモンハマキが長沼町・余市町および仁木町で平年並、コカクモンハマキが長沼町と余市町で多くなっている。  
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は多めで推移すると考えられる。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。

キンモンホソガ 発生期:既発(遅)  発生量:並〜やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. フェロモントラップによる第2回成虫の誘殺数は、長沼町・余市町・仁木町・増毛町とも多くなっているが、幼虫による被害は平年並となっている。  
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、第3回成虫の発生量は平年並からやや多と考えられる。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。

モモシンクイガ  発生期:既発(やや早)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町のフェロモントラップによる誘殺始は、6月20日(平年:6月25日)と平年よりやや早かった。
    2. フェロモントラップによる成虫の誘殺数は、長沼町・仁木町・余市町・増毛町とも平年より多くなっている。  
    3. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量はやや多いと考えられる。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。


G.たまねぎ

白斑葉枯病  発生期:既発(やや早) 発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 予察ほでの発生量は、長沼町では平年より少なく、訓子府町では平年並に推移している。  
    2. 普及センターからの報告によると、上川・網走地方で発生が確認されている。  
    3. 本病は多湿で多発する。  
    4. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を継続する。

軟腐病  発生期:既発  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は多雨で多発する。
    2. 7月中旬以降は降水量が多く、本病に好適な条件が続いている。  
    3. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。  
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を継続する。

ネギアザミウマ  発生期:既発(遅) 発生量:やや多〜多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町では7月2半旬以降、訓子府町では6月4半旬以降急激に増加し、多発状態が続いている(6月27日付け注意報第7号)。
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報され、タマネギの生育も進んでいることから、これ以上の増加はないと見込まれる。


H.あぶらな科野菜

軟腐病  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 長沼町の予察ほでは、現在はくさいで多発している。  
    2. 普及センターからの報告によると、石狩・十勝地方で発生が確認されている。  
    3. 本病は高温多雨で多発する。
    4. 7月中旬以降は降水量が多く高温に経過しており、本病に好適な条件が続いている。  
    5. 8月の気温・降水量は平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 防除基準に準拠して薬剤散布を行う。発生してからの防除は難しいため、多雨などの多発条件が予想されるときは、予防散布を心がける。

モンシロチョウ  発生期:既発(遅)  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 現在第3世代成虫が現れ、発生量は平年より多く、寄生幼虫数も多くなっている。
    2. 8月の気温・降水量は平年並と予報されており、多めのまま推移すると予想される。
      各予察ほにおけるモンシロチョウの発生状況
      地点
      月半旬
      大野町 長沼町
      成虫数 幼虫数 成虫数 幼虫数
      本年 平年 本年 平年 本年 平年 本年 平年
      7.II  100 15.3 86 9.2 9 7.8 0 3.4
      7.IV  80 11.6 122 48.5 54 12.1 19 5.5

  2. 防除対策
    1. 成虫の飛来が目立ち産卵が多いほ場では、防除基準に準拠して薬剤散布を行う。
    2. 薬剤防除にあたっては、他害虫の発生に注意し、同時防除できる薬剤を選択する。

コナガ  発生量:やや多

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 7月に入ってから、長沼町ではフェロモントラップによる捕殺数は平年より多めに 推移しているが、訓子府町・芽室町では平年並、大野町では少なめとなっている。
    2. 幼虫の発生状況は、大野町・長沼町とも6月下旬から平年より多くなっている。
      フェロモントラップによるコナガ雄成虫誘殺数
      地点
      月半旬
      大野町 長沼町 訓子府町 芽室町
      本年 平年 本年 平年 本年 平年 本年 平年
      7.I 46 116.1 75 78.8 73 91.0 15 26.6
      7.II  52 179.7 112 86.1 102 71.4 18 25.0
      7.III 67 157.2 236 118.9 177 107.4 34 19.8
      7.IV  79 153.6 401 174.5 143 154.4 17 19.7
       
      各予察ほにおけるコナガの発生状況
      地点
      月半旬
      大野町 長沼町
      幼虫数 蛹数 幼虫数 蛹数
      本年 平年 本年 平年 本年 平年 本年 平年
      6.II 24 36.2 1 2.6 0 3.0 0 0.0
      6.IV 278 113.5 41 36.6 3 13.7 0 2.5
      6.VI 258 137.8 187 99.7 41 16.0 1 4.8
      7.II  1044 395.0 206 126.7 71 38.5 25 8.3
      7.IV  749 284.6 740 59.6 113 104.7 53 29.1

    3. 8月の気温・降水量は平年並と予報されており、幼虫による被害は引き続き多くな ると予想される。
  2. 防除対策
    1. 薬剤抵抗性が発達した害虫なので、ローテーション散布を実施する。なお、合成ピ レスロイド系薬剤では抵抗性個体群が出現しているので単剤では使用しない。
    2. 薬剤防除にあたっては、他害虫の発生に注意し、効率的な防除体系を組み立てる。


I.野菜類全般

灰色かび病  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 本病は低温多湿条件で多発する。施設栽培では管理条件によって発生が大きく左右される。  
    2. 8月は気温・降水量とも平年並と予報されている。
  2. 防除対策
    1. 換気、灌水などハウス管理を適切に行い、発病に適した環境を作らない。特に夜温 が下がる8月下旬頃からはハウスの開閉に注意し、湿度を上げないように注意する。  
    2. 耕種的防除を基本とし、薬剤散布は補助手段と考える。治療効果のある薬剤でも、 多発してからの効果はない。  
    3. ジカルボキシイミド系剤の耐性菌が広く認められている。また、ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤の耐性菌も一部地域で確認されているため、薬剤の 選択には注意する。

ハダニ類  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並と予想される。
  2. 防除対策
    1. 薬剤抵抗性の発達を避けるため、同一薬剤の連用・過用をさける。 

アブラムシ類  発生量:並

  1. 発生経過と予報の根拠
    1. 8月の気温・降水量は平年並と予報されていることから、発生量は平年並と考えられる。
  2. 防除対策
    1. 発生状況に注意し、発生初期に薬剤散布を行う。


付記

北海道地方 3か月予報

(8月から10月までの天候見通し)

平成12年7月19日
札幌管区気象台発表

3か月(8〜10月)の気温の各階級の確率(%)

[気温]

北海道地方
20 50 30
気候的出現率
30 40 30
 
低い
平年並
高い

3か月平均気温は、平年並の可能性が大きく、その確率は50%です。

可能性の大きな天候見通し

8月
太平洋高気圧に覆われて、平年と同様に晴れて暑い日が多いですが、気圧の谷の影響で一時天気がぐずつくでしょう。
9月
天気は周期的に変化しますが、気圧の谷の影響で天気のぐずつく時期がある見込みです。気温は高く降水量は多いでしょう。
10月
天気は周期的に変化しますが、一時的に寒気が入るでしょう。気温は平年並ですが、寒暖の変動が大きい見込みです。

3か月間降水量は平年並でしょう。

要素 予報対象地域 8月 9月 10月 3か月
気温 北海道全域 平年並 高い 平年並  
降水量 北海道全域 平年並 多い 平年並 平年並


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