平成11年度 病害虫発生予察情報 第17号

9月月報

平成11年10月 13日 北海道病害虫防除所

(連絡先:予察課 Tel.01238(9)2080(内)323

     Fax.01238(9)2082)




気象概況
A.水稲
B.豆類
C.てんさい
D.りんご
E.あぶらな科野菜

I.気象概況

『高温・少雨・並照』月前半に残暑厳しく、記録的高温


 9月前半は寒気が南下しにくく、高気圧に覆われやすかった。このため厳しい残暑となり、高温・少雨・多照で経過した。後半に入り、16日から23日にかけては上空に寒気が入ったため気温が平年を下回ったが、その後は高温で経過した。北海道22地点月平均気温は1946年の統計開始以来第1位の高温(1961年と同記録)。また、19〜20日と23〜24日には秋雨前線のためまとまった雨が降り、25日は台風が本道を横断し大荒れの天気となった。

上旬:1日は前線上に発生した低気圧が本道の南を通過したため太平洋側を中心に雨が降ったが、昼前から天気は回復し日本海側を中心に晴れた。2日は高気圧の張り出しで概ね晴れたが、大気の状態が不安定となり、内陸の所々では雨が降った。3〜6日は、4日に北部で弱い雨が降った他は高気圧に覆われ全般に晴れた。気温も上がり、内陸やオホーツク海側では真夏日の所があった。7〜8日は日本海を北上した低気圧の影響で南西部から雨が降り出し、その後全道に広がった。総雨量は多い所で50〜80ミリ。なお、両日ともオホーツク海側の一部では真夏日となった。9日は全般に晴れて網走・十勝管内では真夏日の所もあったが、上空の気圧の谷の通過で大気の状態が不安定になり、午後には東部の山沿いを中心に強い雨が降った。10日は高気圧に覆われて概ね晴れたが、午後から大気の状態が不安定となり日本海側で雨や雷雨となった。

中旬:11日夜から12日日中にかけて寒冷前線が通過し全道的に雨となったが、前線の通過後は概ね晴れて、十勝管内の足寄では真夏日となった。総雨量は多い所で30〜40ミリ。13日の日中は高気圧の圏内で概ね晴れたが、その後気圧の谷の影響で北部を中心に夕方から雨や雷雨となった。14日は日中概ね晴れたが、太平洋側で曇った。14日夜から15日にかけて弱い気圧の谷が通過したため曇って所々で雨が降ったが、昼頃から高気圧の圏内に入り、太平洋側東部を除いて概ね晴れた。16日は高気圧に覆われ晴れて、朝には冷え込んで内陸で3℃前後まで下がった。17〜18日は高気圧に覆われ概ね全道的に晴れたが、17日の夜は気圧の谷の影響で日本海側では雨や雷雨となった。19〜20日は秋雨前線の影響で全道的に雨となった。総雨量は渡島半島の多い所で60〜90ミリ。

下旬:21日は大陸からの高気圧に覆われて概ね晴れた。22日は初め晴れて内陸ではこの秋初めて氷点下まで気温が下がり、旭川では初霜を観測した。日中は北部やオホーツク海側では概ね晴れたが、その他は秋雨前線の北上で曇った。23〜24日は秋雨前線の影響で全道的に雨が降った。総雨量は一般に20〜50ミリ、多い所で130ミリ前後。25日は台風第18号が日本海から北上し北海道を横断したため、函館で日最大瞬間風速46.5メートル(統計開始以来の極値)を記録するなど全道的に大荒れの天気となった。日雨量は稚内市宗谷岬66ミリ、千歳市支笏湖畔59ミリなど日本海側や南西部を中心に20〜70ミリ。26日は日中気圧の谷が通過したため日本海側を中心に雨や雷雨となったが、太平洋側では概ね晴れた。27日は高気圧に覆われて概ね晴れたが、北部では気圧の谷の影響で昼頃から雨が降り始め、夜には雷雨となった所があった。28日は高気圧に覆われて全道的に晴れた。29〜30日は日中概ね晴れたが、29日夜から30日にかけて前線が通過したため雨や雷雨となり、根室管内の糸櫛別では30日の日雨量が65ミリ 。

気温偏差階級降水比階級日照比階級
北海道22地点平均 +2.4℃かなり高70% やや少105%
太平洋側8地点平均 +2.5℃かなり高71% やや少107%
オホーツク海側4地点平均+2.6℃かなり高63% やや少118%やや多
日本海側10地点平均 +2.2℃かなり高73% やや少99%

II.病害虫発生概況

A.水稲

1.いもち病(穂)   発生量  並

 予察田での発生量は、大野町の「ほのか224」で少、「しまひかり」で平年並、岩見沢市では平年並、比布町では成熟期に達したため未調査であった。一般田では、平年よりやや少ない発生であった。

地点品種年次枝梗いもち穂首いもち穂いもち 節いもち 平年数
病穂率(%)病穂率(%)病穂率(%)病穂率(%)
大野町 ほのか224本年34.125.847.228.27
平年100.092.796.326.7
しまひかり本年98.495.195.146.310
平年100.098.595.333.4
岩見沢市キタヒカリ本年22.059.081.017.110
平年22.642.465.030.3
きらら397本年34.726.761.417.09
平年12.04.216.23.8
あきほ 本年45.922.067.924.12
平年37.913.951.822.0
比布町 きらら397本年----5
平年40.712.249.08.4
本年----5
平年41.629.471.034.0
ほしのゆめ本年----3
平年38.632.771.338.0

注)大野町は9月4半旬、岩見沢市および比布町は9月2半旬の調査結果

2.紋枯病           発生量   並

 予察田での発生量は、大野町の「ほのか224」で平年並、「しまひかり」で少、岩見沢市では平年より多かった。一般田では、平年並の少発生であった。

地点品種発病株率発病茎率発病度 平年数
本年平年本年平年本年平年
大野町 ほのか22444.047.430.834.019.026.87
しまひかり12.060.65.737.74.035.310
岩見沢市キタヒカリ100.022.876.89.349.09.910

3.セジロウンカ         発生量   並

 大野町の予察田では成虫の飛来量はやや多かったものの、水田内でのすくい取りで9月2半旬以外は少なかった。

月・半旬誘殺成虫数すくい取り成虫数
大野町 大野町
本年平年本年平年
9.I3423441
II80229322
III38192674
IV2718182
V-5-13
VI-2-1

4.アカヒゲホソミドリカスミカメ 発生量   やや多

  高温経過により9月の成虫の発生量がやや多くなった。

5.ニカメイガ          発生量   並

 大野町の予察田の「マツマエ」では被害茎率1.5%(平年:1.7%)、在虫茎率0.4%(平年:0.9%)と平年並の被害となった。全道的にもほぼ平年並の発生であった。

B.豆類

1.大豆のべと病         発生量   並

 9月4半旬の長沼町の予察ほでは「キタホマレ」で発病株率80.0%(平年:77.7%)、発病度20.0(平年:27.5)と平年並の発生であった。一般ほでの発生量も平年並であった。

2.小豆のアズキノメイガ     発生量   並

 長沼町の予察ほでは、被害株率8.0%(平年:8.3%)、被害莢率0.4%(平年:0.9%)と平年並であった。

C.てんさい

1.褐斑病          発生量   並

 予察ほにおける発生量は長沼町で平年並、訓子府町および芽室町で平年より多い発生であった。一般ほでは防除の徹底により平年並の発生であった。

地点 品種年次発病株率発病度 平年数
9.II9.IV9.VI9.II9.IV9.VI
長沼町 モノエースS本年100.0100.0100.038.445.262.07
平年100.099.7100.041.551.464.0
訓子府町モノエースS本年100.0100.0100.058.079.289.27
平年100.0100.0100.036.446.957.9
芽室町 モノエースS本年100.0100.0100.076.885.291.28
平年96.097.3100.040.855.062.9
ストーク本年100.0100.0100.073.683.691.21
平年100.0100.0100.062.882.483.2

2.ヨトウガ           発生量   並

各予察ほとも食害程度はほぼ平年並となった。普及センターからの報告によると、一般ほでの被害は平年並であった。

月・半旬食害程度平年数
長沼町 訓子府町芽室町
本年平年本年平年本年平年
9.I47492031233710
II52472128253110
III45492229262910
IV54473227293010
V5151-36292910
VI47482330282810

D.りんご

1.黒星病  発生量 並

 長沼町の予察園では平年並に推移した。普及センターからの報告によると、一般園では平年並の少発生であった。

地点品種 病葉率(%)平年数
9月2半旬9月4半旬9月6半旬
本年平年本年平年本年平年
長沼町スターキング94.069.891.372.092.187.010
ふじ 95.387.691.880.194.684.62

2.斑点落葉病  発生量 並

 長沼町の予察園では平年並に推移した。普及センターからの報告によると、一般園では、罹病性品種でやや発生が目立ったが、全道的には平年並の発生量であった。

地点品種 調査枝病葉率(%)平年数
9月2半旬9月4半旬9月6半旬
本年平年本年平年本年平年
長沼町スターキング新梢85.073.695.777.093.382.45
徒長枝75.876.670.579.478.581.13

3.モモシンクイガ        発生量   やや多

長沼町の予察園ではフェロモントラップによる誘殺数はやや多く、被害果率は8月は少なかったものの、9月に入ってから平年並になった。余市町・仁木町の一般園では誘殺数は平年より多めとなった。

4.キンモンホソガ        発生量   やや多

 長沼町の予察園ではフェロモントラップによる誘殺数は多く、被害葉率も多めとなった。仁木町・増毛町の一般園では誘殺数は平年より多めとなった。

5.ハダニ類           発生量   やや多

 長沼町の予察園では、リンゴハダニは平年並でナミハダニは少なかったが、余市町・仁木町の一般園では両種とも多めの発生となった。

E.あぶらな科野菜

1.軟腐病     発生量 並

長沼町の予察ほでは、だいこん・はくさいとも平年より少ない発生であった。一般ほでは平年並であった。

2.コナガ            発生量   やや少〜並

 予察ほでのフェロモントラップによる誘殺数は、長沼町では平年並、大野町では多めであった。幼虫の寄生数は平年より少なめであった。

月・半旬フェロモンによる誘殺数10株当たり幼虫数
長沼町大野町長沼町大野町
本年平年本年平年本年平年本年平年
9.I4633100772021--
II332667743428173180
III1128129553127--
IV18266948201618120
V1615-481021--
VI1621-45414--

3.モンシロチョウ        発生量   多

 大野町・長沼町の予察ほとも第世代成虫の発生が多く、幼虫の寄生数も多くなった。

月・半旬成虫数10株当たり幼虫数
長沼町大野町長沼町大野町
本年平年本年平年本年平年本年平年
8.VI51520537141731
9.II76326141621119
IV13358312427232
VI22--6917--



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