平成11年度 病害虫発生予察情報第1号

長期予報

平成11年3月 26日 北海道病害虫防除所

(連絡先:予察課 Tel.01238(9)2080(内)323
     Fax.01238(9)2082)



平成11年暖候期予報
平成11年度に特に注意を要する病害虫
平成11年度の病害虫の発生予想
1.水稲
2.麦類・とうもろこし
3.豆類
4.ばれいしょ・てんさい・たまねぎ
5.りんご
6.あぶらな科野菜


平成11年度暖候期予報

 札幌管区気象台発表の3月10日付けの暖候期予報によると、夏平均気温(6〜8月)は、「平年並」の可能性が大きく、その確率は50%です。次に大きいのは「高く」なる可能性で、その確率は30%です。また、根雪の終日の平年差は以下のように予想されています。

平年より遅い所:
積雪が多くなっている日本海側中部。
札幌、岩見沢、倶知安等では平年より1〜5日程度遅く、また小樽では1週間前後、極端に積雪が多くなっている旭川では平年より2週間前後遅くなる可能性がある。
平年並か平年より早い所:
積雪の少ない日本海側の一部(留萌、寿都、江差等)。
オホーツク海側・太平洋側のほぼ全域。

時期別の気象経過は次のように予想されています。

春(4〜5月):
平年と同様、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日周期で変わるでしょう。この期間の気温は平年並ですが、寒暖の差が大きく晩霜の恐れがあります。この期間の降水量は平年並の見込みです。
夏(6〜9月):
6月はオホーツク海高気圧や気圧の谷の影響を受けやすく、天気がぐずつき低温の続く時期があるでしょう。その後は天気は概ね周期的に変わる見込みで、盛夏期(7〜8月)には太平洋高気圧に覆われて暑い日もあるでしょう。

平成11年度に特に注意を要する病害虫

 近年の発生状況及び平成11年度暖候期予報から注意を要する病害虫は以下のとおりです。

1.水稲の苗立枯病
4〜5月は寒暖の差が大きいと予報されていることから、育苗管理には十分注意する。
2.水稲のイネドロオイムシ
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されている。成虫の産卵期間がのび、幼虫の加害も長引き被害が多くなる可能性があるので、卵塊調査を実施して適正な防除に努める。卵塊調査には「北の虫見番」を活用する。
3.小麦の赤かび病
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されていることから、発生量はやや多と予想される。
4.豆類の炭そ病
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されている。初発期はやや早まり、発生量はやや多くなると予想される。本病は莢のみでなく茎葉にも発病するため、ほ場をよく観察し、初発を見逃さないように注意して、適期防除につとめる。
5.豆類のタネバエ
播種後低温が続くと、発芽までの期間がのび幼虫による被害が大きくなるので、成虫の産卵を抑制するため、有機質肥料を多用せず播種後は速やかに覆土する。
6.ばれいしょの疫病
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されていることから、初発期はやや早まり、発生量はやや多くなると予想される。初発予測システムFLABSを活用するなど適期防除に努める。
7.てんさいの褐班病
7〜8月は高温の時期があると予報されていることから、発生量はやや多くなると予想される。ほ場をよく観察し、発病株率が50%になったら直ちに防除を開始する。
8.りんごの黒星病
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されていることから、発生量はやや多くなると予想される。開花直前から落花期が重点防除時期である。
9.りんごの斑点落葉病
7〜8月は高温の時期があると予報されていることから、発生量はやや多くなると予想される。平均気温が20℃以上で2〜3日降雨が続くと急増する。また、不要な徒長枝は発病・蔓延の原因となるので、夏季剪定を行い処分する。
10.りんごの腐らん病
休眠期の防除、被害部の削り取りや薬剤の塗布などが徹底されていないため近年多発傾向にあり、本年の発生量も、引き続きやや多くなると予想される。
11.たまねぎの白斑葉枯病
6月は天気がぐずつき低温の続く時期があると予報されていることから、発生期はやや早く、発生量はやや多くなると予想される。
12.たまねぎの軟腐病
近年多発生に推移しており、7〜8月は高温の時期があると予報されていることから、発生量はやや多くなると予想される。発病後の薬剤散布は効果がないため、天気予報を参考にして予防散布を心がける。

平成11年度の病害虫の発生予想

注1)近年の発生状況:平年値(過去10年間の平均値)と比較した値。
   ◎:やや多〜多  □:並  △:やや少〜少
 2)初発期:予察ほの平年値。*:予察ほで調査していないため、一般的な値。

1.水稲
作物名病害虫名近年の発生状況初発期発生予想(平年対比)
678910発生期発生量
水稲ばか苗病--
苗立枯病--並〜やや多
苗立枯細菌病--
縞葉枯病6.V*やや少
いもち病(葉)7.III
いもち病(穂)8.III
紋枯病8.II
葉しょう褐変病--
褐変穂--
イネミギワバエ4.VI
イネハモグリバエ5.VI
イネミズゾウムシ5.VI
ヒメトビウンカ5.VIやや少
イネドロオイムシ6.Iやや遅やや多
フタオビコヤガ5.VI
アカヒゲホソミドリカスミカメ6.IIIやや遅
ニカメイガ6.IIやや遅

2.麦類・とうもろこし
作物名病害虫名近年の発生状況初発期発生予想(平年対比)
678910発生期発生量
麦類赤さび病5.IV
うどんこ病5.I
赤かび病--やや多
眼紋病--
ムギクロハモグリバエ5.VIやや少
ムギキモグリバエ5.VI並(春まき)
アブラムシ類6.V*やや少
とうもろこしアワノメイガ7.IIやや少
アブラムシ類6.V*

3.豆類
作物名病害虫名近年の発生状況初発期発生予想(平年対比)
678910発生期発生量
大豆べと病7.VIやや早
わい化病6.VI*やや遅
食葉性鱗翅目幼虫6.Iやや遅
ジャガイモヒゲナガアブラムシ6.II*やや遅
マメシンクイガ8.IIやや少
タネバエ--並〜やや多
小豆菌核病8.I*やや少
灰色かび病8.I*やや少
輪紋病7.III*
炭そ病7.I*やや早〜並並〜やや多
茎疫病--
食葉性鱗翅目幼虫6.Iやや遅
アズキノメイガ7.IIやや少
アブラムシ類7.V*
タネバエ--並〜やや多
菜豆菌核病7.VIやや少
灰色かび病7.VI*やや少
炭そ病子葉 6.IIIやや早〜並並〜やや多
茎葉 6.IV
莢  7.VI
黄化病-やや遅
タネバエ--並〜やや多

4.ばれいしょ・てんさい・たまねぎ
作物名病害虫名近年の発生状況初発期発生予想(平年対比)
678910発生期発生量
ばれいしょ疫病7.IIIやや早〜並やや多
軟腐病7.II*
黒あざ病6.I*
黒あし病6.I*
そうか病--
粉状そうか病   --
オオニジュウヤホシテントウ6.I*やや遅やや少
アブラムシ類6.IIIやや遅
ナストビハムシ6.III*やや遅
てんさい褐斑病7.V並〜やや多
根腐病6.VI*
テンサイトビハムシ5.IIやや少〜並
テンサイモグリハナバエ6.IIやや遅やや少
ヨトウガ(第1回)6.I並(成虫)
やや遅(被害)
たまねぎ白斑葉枯病6.VIやや早〜並並〜やや多
軟腐病6.VI*並〜やや多
乾腐病--
タマネギバエ--
ネギアザミウマ6.III並〜やや遅

5.りんご
作物名病害虫名近年の発生状況初発期発生予想(平年対比)
678910発生期発生量
りんごモニリア病花◎7.II*
実△
黒星病6.I並〜やや多
斑点落葉病6.VI並〜やや多
腐らん病--やや多
ハマキムシ類5.II
モモシンクイガ6.VIやや少
キンモンホソガ5.IIやや遅
ハダニ類5.II並〜やや多(リンゴハダニ)
並(ナミハダニ)

6.あぶらな科野菜
作物名病害虫名近年の発生状況初発期発生予想(平年対比)
678910発生期発生量
だいこん軟腐病7.I*-
コナガ--
アブラムシ類--
キスジトビハムシ-
はくさい軟腐病7.I*-
モンシロチョウ-5.I*
コナガ--
ヨトウガ6.Iやや遅
キャベツ軟腐病7.I*-
モンシロチョウ5.I*
コナガ--
ヨトウガ6.Iやや遅
アブラムシ類□〜◎--


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