北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成元年度新発生病害虫]

インゲンのアファノミセス根腐病(仮称)

(1989年−平成元年)


 1988年7月、十勝地方の中札内村および更別村で生育初期のインゲンに葉が黄化、萎凋し、枯死する症状が多発生した。根部は褐色に腐敗し、水浸状の病斑が胚軸部に進展していた。罹病部からインゲンに強い病原性を示す Aphanomyces 菌が分離された。
 本菌の寄主範囲はインゲンのほか、アルファルファ、テンサイで、エンドウ、アズキ、ダイズ、ルタバガ、ダイコン、カンラン、コムギ、トマトには病原性を示さなかった。本菌の遊走子は逸出管より生じ、管口で塊状の被のう胞子を形成する。蔵卵器は球形で短枝に頂生し、直径21.8〜38.3μm(平均29.6μm)、卵胞子は球状で直径16.5〜30.6μm(平均22.2μm)であった。蔵卵器柄の起源はdiclinousであり、蔵卵器柄に密に接し、蔵精器は蔵卵器を包む様に付着した。本菌の生育温度は4゚Cより高く35゚C未満で、最適温度は24゚C〜28゚Cであった。
 以上の結果から、本菌はAphanomyces euteiches Drechs.f.sp.phaseoli pfend.&.Hag.と同定された。本病は本邦未発生の病害であることから病名をインゲンアファノミセス根腐病(新称)としたい。

(十勝農試)


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