北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
昭和63年8月、新十津川町において、加工用スイートコーンの子実表面にアカヒゲホソミドリカスミカメの吸汁加害に起因する被害が認められた。
本種の吸汁による被害症状は子実の表面に淡褐色〜暗褐色の輪紋状の斑紋が形成され、被害斑の中央部には1〜2個の暗褐色、点状の吸汁痕が見られる。また、激しい場合には子実の表面が萎縮して波状を呈したり、その部分が深く陥没する。加害を受けた雌穂を加熱すると被害部分は一層顕著に現われるなど外見的にも品質が著しく低下する。
被害粒の発現は雌穂の先端部分で、しかも、苞皮が裂開して、子実が僅かに露出しているものに多いことから、本種の加害習性として苞皮として子実を吸汁することはないと考えられる。
新十津川町における加工用スイートコーンの栽培面積は37haで、被害面積は6haに及んだが、同様の被害症状は長沼町のとうもろこしでも認められた。加工用スイートコーンは雌穂のまま冷凍食品として販売され、解凍、加熱してそのままの状態で食される。このため被害粒が混在すると商品価値の低下を招くばかりでなく、食用としても不適となるため、十分に注意を払う必要がある。