北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[昭和63年度新発生病害虫]

麦類のムギウスイロアブラムシ(新称、新発生)

(1988年−昭和63年)


 昭和63年8月中旬、北見農試圃場で登熟中のエンバク、3筆(0.8ha)にアブラムシの一種、Metopolophium dirhodum WALKER の発生がみられた。主としつ、エンバクの上位2葉に寄生がみられ、10頭未満のコロニーを作っていた。寄生茎率は、多いところで3割弱であった。このエンバクの発芽は7月上旬、出穂期は8月始め頃で、アブラムシはエンバクの登熟とともに減少し、9月中旬には見られなくなった。なお、同時期の春播き小麦の晩成種にも少数ながら見つかっている。
 本種は体色が淡黄〜淡緑色で、背中部に濃色条があり、脚、角状管はムギヒゲナガアブラムシと違って黒くない。一見、ムギミドリアブラムシ Schizaphis graminum RONDANIに似るが、約2.5mmと大型、触角が淡色で体長の4/5以上と長いことで判別できる。
 欧州では大麦・小麦・エンバクなどに普通に見られるアブラムシで、穂には寄生しないが、上位2葉に多く、時に吸汁害を起こすことが知られる。麦類に寄生する他の種より、低温で増殖率が高い。夏と冬で寄主植物を替える、いわゆる移住性のアブラムシで、冬寄主はバラ類とされている。

(北見農試)


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