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北海道病害虫防除所 |
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平成31年に特に注意を要する病害虫 |
黒星病はりんごにおける重要病害であり、葉だけでなく、果実にも病斑を形成するため、発生すると著しい収量減の要因となる。適切な防除の実施により平成15年頃から、一般園における本病の発生はほとんど見られていなかったが、平成28年以降、後志および渡島地方を中心に多発傾向が続き、被害が拡大している。近年の多発状況を受け、平成30年度に特に注意を要する病害虫、また、4月11日には注意報を発表して注意喚起を行ったが、本年においても多発した。
本病は平均気温が15〜20℃で、多雨となったときに多発しやすい。平成30年は6月中旬から7月上旬にかけて降雨が続き、また、8月中旬にも降雨の見られる時期があり、本病の発生に好適な条件となり多発に至った。
本病の病原菌は落葉、果実や枝にできた病斑上で越冬し、そこから飛散される子のう胞子が一次伝染源となる。平成31年においても春の感染源は多いと推測されるため、特に注意が必要である。本病は発生量が増加してからの防除では防ぐことが難しいため、初期の防除時期を逸しないように薬剤を散布する。加えて、5月中旬から6月上旬の重点防除時期はもちろんのこと、それ以降も降雨前に防除を実施し、散布間隔が開きすぎないように注意する。これまでに、防除機の切り返し地点など、薬剤の散布ムラにより防除が不十分な場所での発生事例が認められていることから、特に枝や葉が混み合う時期の薬剤散布においては十分な散布水量を遵守し、散布ムラを生じさせないように注意する。
また、平成30年には道外複数の産地において、地域外から導入した苗木で本病が多発した事例が報告されている。新規に外部から苗を導入した際には、その後の発病状況をよく観察するとともに、苗木であっても他の樹と同様に防除を実施する。
青森県では、平成28年に本病に対する基幹防除薬剤であるDMI剤に対する耐性菌の出現が確認され、平成29年から本病に対する使用が全面的に禁止された。さらにQoI剤に対する耐性菌の出現も確認されている。道内におけるこれらの薬剤に対する感受性低下や耐性菌発生はまだ報告されていないが、これらの系統も含め同一系統薬剤の連用は避ける。
写真 りんごの黒星病 葉の症状(中央農試 山名 原図)
写真 りんごの黒星病 果実の症状(中央農試 山名 原図)
腐らん病は、りんごの最重要病害であり、主幹、主枝および枝梢部に発生して胴枯れ、枝枯れ症状を引き起こす。冬期間を除くほぼ通年、樹皮に形成された子のう殻や分生子殻(柄子殻)から胞子が分散する。このため、りんご栽培期間全体にわたって本病に対する警戒が必要である。
本病はこれまでも多くの園地で発生がみられ、平成30年度に特に注意を要する病害虫、また、4月11日には注意報を発表して注意喚起を行ったが、本年も発生面積率83.0%、被害面積率28.1%と多発した。この原因として、近年の多発傾向により伝染源密度が高まっていること、過年度の凍害による樹体損傷やなり疲れ、樹齢の高まりによる樹勢低下により、樹体が被害を受けやすくなっていることが考えられる。また、本年は7月に台風7号から変わった低気圧、9月の台風21号が北海道周辺を通過しており、強風により損傷を受けた樹もあると推察される。これらのことから、平成31年度においても本病に対して特に注意する必要がある。
本病の対策としては樹勢の維持が最も重要であるため、「りんご腐らん病総合防除対策指針」に基づき、適切な剪定、施肥、土壌管理、干害防止のための草生管理、適正な着果量の確保など、基本管理を徹底する。また、本病の病斑からは一年を通して胞子が飛散されることから、り病部を放置すると発生リスクが高まる。そのため、本病の発生を早期に発見できるよう園地の観察に努め、見つけ次第速やかにり病枝を切り落とし、病患部の削り取りを行う。切り取った枝や削り取った樹皮も園内に放置すると感染源となるため、必ず園外に持ち出して適正に処分する。傷口にはゆ合剤を塗布することも重要である。剪定、摘果などによる傷も感染口となるので、剪定後の切り口にゆ合剤を塗布するとともに薬剤の樹幹散布も行い、本病に感染しないよう管理する。また、収穫後の休眠期防除も実施する。
写真 りんごの腐らん病 胴ふらん(中央農試 岩ア 原図)
写真 りんごの腐らん病 枝ふらん(中央農試 西脇 原図)
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