北海道病害虫防除所 北海道立総合研究機構 |
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平成15年度に特に注意を要する病害虫 |
(1)小麦の赤かび病 平成14年5月に厚生労働省により小麦に含有するデオキシニバレノールの暫定的な基準値を1.1ppmとすることが示された。 デオキシニバレノールは赤かび病の病原菌の一部が産生するかび毒(マイコトキシン)である。 小麦の安全性確保のため暫定基準値を超える小麦が市場流通しないように行政指導された。 このことを受け、薬剤散布、収穫・乾燥・調製における対策の徹底について努力が払われた。 本年は開花期前後の気象経過が良好であったこと、薬剤散布が徹底されたことなどから近年にない少発生となったが、気象条件によっては多発生となる可能性がある。 このため、デオキシニバレノールの汚染低減に向けて赤かび病対策を引き続き徹底していく必要がある。 |
(2)小麦うどんこ病のストロビルリン系薬剤耐性菌の出現 平成13年7月、小麦のうどんこ病に対して本系統薬剤を散布したにもかかわらず、防除効果が得られないとの指摘があった。 そこで、平成13〜14年にかけて上川、網走および十勝支庁管内の8ほ場から得た合計32菌株について、クレソキシムメチル剤およびアゾキシストロビン剤に対する感受性検定を実施したところ、ほとんどの菌株で感受性の低下が確認された。 感受性の低下レベルはいずれの菌株においても高く、耐性菌と判断された(調査および試験成績はすべて日産化学工業・日本曹達株式会社より提供)。 また、平成14年にこれらの2薬剤の防除試験を実施したところ、いずれも防除効果はほとんど得られないことが明らかになった。本系統薬剤は道内で広く使用されていると考えられるため、今回、感受性検定を実施していない地域でも耐性菌が出現している可能性がある。 これらのことから、うどんこ病の防除にあたってはストロビルリン系薬剤の使用を避け他系統の薬剤で対応する。 本病の防除にあたっては、平成8年指導参考事項に被害許容水準に基づく防除法、農薬の散布時期、発病を助長する栽培条件などが示されているので、これらを参考にする。 |
(3)オキソリニック酸水和剤に対する各作物の軟腐病菌の感受性低下 平成12年に十勝支庁管内のばれいしょから分離された軟腐病菌がオキソリニック酸水和剤に対する低感受性菌であることが明らかになったため、対策として本剤の連用を避けるよう注意を喚起してきた。 その後、調査地域および対象作物をひろげ、檜山、後志および十勝支庁管内16地点のばれいしょおよびだいこんから分離した45菌株について、感受性検定を実施した結果、32菌株で感受性の低下が確認された。 ほとんどの菌株は感受性低下の程度が低かったが、一部で高い菌株が認められたため、感受性の低下は進んでいると考えられた。 以上のことから、今後も感受性のさらなる低下を防ぐため、本剤の使用に当たっては連用を避け、他系統の薬剤とのロ−テ−ション散布で対応する必要がある。 また、本病の発生を防ぐには多窒素栽培を避けることを基本とする。 |
(4)春期高温年における各種害虫の早・多発 平成14年は、融雪以降、6月中旬まで高温、少雨傾向が持続したため、各種害虫の発生が例年と比較して著しく早まり、早い時期から例年同時期と比較して高い密度での発生が認められた。
このように、春季の気象が高温少雨ぎみに推移する場合には、各種害虫の早発、多発となることがある。 |
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